白銀を纏った花の百名山(霊仙山)
霊仙山(りょうぜんざん、りょうぜんやま)は、滋賀県の犬上郡多賀町と米原市にまたがる鈴鹿山脈の最北の山です。山の東山腹は岐阜県大垣市と関ケ原町にまたがっています。北側には伊吹山が対峙し『花の百名山』にも選定されています。
明治以前には「霊山」と呼ばれていて、祖先の霊が籠る山と伝えられ、奈良時代に山頂に「霊仙寺」が建立されたと言われています。また、経塚山(北霊仙山)に役小角の修行所があり、宣教大師が山麓に7つの寺院を建立したと伝えられています。
登山の起点となっている霊仙山周辺の榑ヶ畑集落、落合集落、今畑集落は、今は廃村となっていますが、地方自治体や地元の方々が保全に努められていて、現在も建屋の保存、道路整備や治山事業が行われています。

落合登山口の駐車場に車を停め、今畑登山口まで歩き、笹峠から反時計回りに霊仙山を周回しました。笹峠から近江展望台までがかなりの急斜面なので、一般的には下りには適していないため、周回する場合は反時計回りで歩かれる方が多いと思います。
落合集落に数台駐車可能なスペースがあります。河内の風穴からの道は、1.5車線ほどの道で厳冬期は、雪に埋もれてしまいますが、駐車スペースを含め除雪作業をしていただいています。この日も落合集落の駐車スペースに駐車させていただきました。集落の奥では、今も治山工事が続いていて、大型車も通行するので、通行の邪魔になるような路駐はしないようにしましょう。



今畑集落に関しては、「廃村の今(霊仙今畑集落跡)」をご覧下さい。

今冬は、寒波が長期に渡り居座る傾向にあり、積雪量も例年になく多くなっています。鈴鹿山脈周辺の米原市、東近江市、日野市なども過去最高の積雪量を記録するほどです。この日も登山口でもゆうに1mほどの積雪量で、登山道にも多くの雪が残っていました。雪質は、よく締まっていてアイゼンが無くても歩ける状態でしたが、アイスバーンの箇所もあり早めにアイゼンを装着しました。

笹峠を過ぎると目の前に近江展望台へ向けて延びる急斜面が立ちはだかっています。一説には、最大の斜度は40°程度と言われる急勾配です。カルスト地形で無数の石灰岩が露出した斜面ですが、雪をたっぷり纏っているので、雪の斜面を這い上がるイメージです。

この日は、雪質も適度に締まっていて、また今冬は多くの登山者が歩かれていることもあり、階段状に踏み跡があるため登り易い状態でした。ピッケルも持参していましたが使用することなく登ることができましたが、雪質によっては非常に危険なので、状況をよく判断して適切な装備を心がけて下さい。特に下る場合は、要注意です。

急斜面を登りきると展望が一気に開け、霊仙山だけではなく360°の絶景が待ち受けています。南側には、鍋尻山と奥には御池岳、藤原岳など鈴鹿山脈の山並み、北側には、これから歩く西南尾根の稜線と南霊山、霊仙山最高点、霊仙山。東側には養老山地の山並み。西側奥には、琵琶湖から視界が良ければ比良の山並みが見えています。絶景を見ながら歩く西南尾根は最高です。









霊仙山には、1098mの最高点と三角点が設置されている霊仙山があります。最高点まで歩くと北側の展望が開け、対峙する伊吹山が目の前に聳えています。空気が澄んでいれば、能郷白山、白山や御嶽山、アルプスの山並みも見ることができますが、この日は気温の上昇もあり、遠望は望めませんでした。








三角点のある霊仙山からは、琵琶湖や比良山地の山並みを望むことができます。また、周回してきた西南尾根など山頂周辺の広大な雪原は、とても1000mそこそこの低山とは思えない、絶景の雪景色を見せてくれます。













下山に歩く榑ヶ畑コースの八合目お虎ヶ池には霊仙神社あり、池の前には鳥居があります。また、七合目にはお猿岩がありますが、この日は、両方とも雪の下に埋まっていて確認することはできませんでした。山頂に霊仙寺が建立され、そこで研いだ米の水が溜まってのが「お虎ヶ池」となり、それが流れ出して「漆ヶ滝」ができたという伝説があるそうです。
榑ヶ畑コースには大きな難所はありませんが、六合目から七合目まではかなり急勾配の斜面を歩くことになります。夏道はやや九十九折れぎみに道がありますが、積雪時は直登するコース取りになっています。下りの際は、足元に注意しながら歩いて下さい。

今冬最後の雪山になると思いますが、本当に良い日に登ることができました。四季を通じて素晴らしい風景や花々などの自然を楽しめる山だと思います。ただ、多くの山域同様、迷惑駐車やゴミ問題が取り沙汰されています。SNSや情報サイトで山の情報が共有されることは非常にメリットが多いですが、反面、ルールを無視して山を歩く人たちも増えています。情報発信者のモラルもまた問われているんだと思います。
