隠れた花の百名山(霊仙山)
鈴鹿山脈は、岐阜県及び三重県と滋賀県との県境沿いに位置する山脈で、霊仙山を北端として鈴鹿峠までの範囲をさしています。北部と南部は石灰岩質のなだらかな山で、霊仙山、御池岳や藤原岳山頂付近にはカルスト地形がみられます。一方、中央部の竜ヶ岳南面から入道ヶ岳にかけての範囲は花崗岩質で鋭い山容となっています。鈴鹿山脈北部の霊仙山、御池岳、藤原岳はそれぞれ花の百名山、新花の百名山に取り上げられているほど花の多い山として知られています。霊仙山は、御池岳や藤原岳ほど知られていない存在ですが、石灰岩質を好む山野草が多く自生しています。山麓の落合集落や今畑集落など廃村となった村周辺でも当時を偲ぶように多くの花々が咲いています。
初春の福寿草、セツブンソウに始まり、エビネやヤマシャクヤクの群生、カルスト台地を彩るヒメレンゲやニリンソウなど種の豊富さも群生規模も目を見張るものがあります。今回は、廃村に咲くクリンソウ、カルスト台地に群生するヤマシャクヤクとエビネ、ヒメレンゲを中心にお花畑を満喫してきました。
◎ヤマシャクヤク(山芍薬)
ヤマシャクヤクは、大峰山脈、金剛山など多くの山で見てきましたが、霊仙山の群落ははるかに大規模でした。今回は、南部の南霊山周辺の群生を見てきましたが、榑ヶ畑コース5合目周辺や柏原コースでも大きな群生があるといわれています。霊仙山山頂台地周辺だけでも100株をゆうに超える個体が自生しているのだと思います。
◎エビネ(海老根)
ヤマシャクヤク同様、環境省のレッドリストの準絶滅危惧(NT)に指定されているエビネですが、霊仙山ではヤマシャクヤクほどではありませんが、色々な場所で群生を見ることができます。花の色は変異が大きいようで、がく片と側花弁は赤褐色、褐色、黄褐色、緑褐色、緑など、また唇弁は白または薄紫紅色のものが見られました。
◎この日出会った花々
前述した通り、霊仙山ではヤマシャクヤクやエビネ以外にも多くの花々が咲いていました。南霊山から山頂台地周辺のカルスト台地では、ニリンソウ、ヒメレンゲ、オドリコソウ、ヒトリシズカなどが多く見られ、今畑廃村跡ではクリンソウの群生が点在していました。
