真夏に咲く秋の七草(岩湧山)
秋の七草は、秋を代表する7つの草花を指し、桔梗(キキョウ)は秋の七草のうちの1種です。秋の七草とは、山上憶良(やまのうえのおくら)が詠んだ歌に由来すると言われています。
- 秋の野に 咲たる花を 指折り かき数ふれば 七種(ななくさ)の花
- 萩の花 尾花葛花 瞿麦(なでしこ)の花 姫部志(をみなえし) また藤袴 朝貌の花
この中で、「朝貌の花」とされているのが、キキョウだと言われています。秋の七草は、下記の草花を指しますが、別の種を指す異説もあるようです。(朝顔・昼顔・ムクゲ・桔梗など諸説)
- 姫部志、女郎花(オミナエシ)
- 尾花(ススキ)
- 桔梗(キキョウ)
- 瞿麦、撫子(ナデシコ)
- 藤袴(フジバカマ)
- 葛花(クズ)
- 萩(ハギ)
古くから日本人にとって馴染みの深い桔梗(キキョウ)は、個体数が減少してしまい環境省の絶滅危惧種にも指定されています。昔は里山や田んぼなどで普通に見ることができたキキョウですが、今は自生している場所も少なくなっています。そのような現状もあって、キキョウは秋の花のイメージが強く、山で真夏に見ることができることに少し違和感を感じるのは私だけでしょうか?
今回は、岩湧山へ咲き始めたキキョウとオオナンバンキセルを見に出かけてきました。


山頂へ向かう前にいにしえの道にあった道標に導かれて、「千手の滝」「不動の滝」へ立ち寄ってみました。

道標の先には、いにしえの道からは想像できなかった岩壁に囲まれた狭い谷に。そそり立つ岩壁は、なかなかの迫力で岩壁の袂には狐の狛犬とお稲荷さんを祀る朽ちた祠がありました。周辺には、○○龍王や○○大神と彫られた石碑が立ち並んでいました。生駒山地、金剛山地にも八大龍王の信仰が広まっていたそうなのでこういう石碑をよく見かけます。
千手の滝、不動の滝ともに水量は乏しく迫力がある滝ではありません。千手の滝は写真には二段目の部分しか写っていません。岩峰に挟まれた奥に落差20~30mの一段目があるそうです。はやり水量も乏しく、木々に覆われて確認することはできませんでした。
二つの滝に立ち寄った後、岩湧寺を通って登山口からきゅうざかの道で山頂を目指しました。

山頂までの道には、結実したイチヤクソウや咲き始めたばかりのヤマジノホトトギスが見られました。





オオナンバンギセル(大南蛮煙管、学名:Aeginetia sinensis )は、ススキなどイネ科の植物に寄生する花ですが、ちょうど咲き始めたばかりでとても綺麗な状態の花を見ることができました。しばらくの間は妖艶な姿を見せてくれると思います。
茅場のキキョウも咲き始めたばかりでしたが、今年は明らかに花数が多いと思いました。この日は曇りがちで青空には恵まれませんでしたが、茅場の緑にキキョウの青紫がよく似合っていました。キキョウもしばらくの間、咲き続けると思います。
キキョウ、オオナンバンギセルの他にも色々な花が咲いています。これから夏の花が茅場を彩ってくれます。
