身につけておきたいこと(蓬莱峡)
数年前に大阪府山岳連盟の講習会で初めて登山のことを人から色々教わりました。山で自然に接すると色々なシチュエーションに遭遇することがあります。私はクライミングやアルパインのような登山をするつもりはありませんが、登山中に岩場を通過しなくてはいけない、もしくは通過するかを判断することを迫られることがあります。また、天候の急変や体調不良などでやむを得ず山中でビバークすることになった時の対応力も身につけておく必要があると思っています。講習会では、緊急時の対応や最低限のロープワーク、岩場歩行技術などを教えていただきました。
でも普段、普通に登山をしていても、危険な状況に遭遇することは滅多にありません。ツエルトやロープ、シュリンゲを使うことも普段の山歩きではないと思います。緊急時に必要となる装備は、いつもザックの中に入れていますが、その大半を普段使うことはないのです。緊急時に遭遇しないことは喜ばしいことですが、万一に備えて、必要な時に使えるようにしておかなくては、ザック重しでしかないですよね(笑)
今回も裏六甲の蓬莱峡へ岩場歩行、ロープワーク、ツエルト設営などのトレーニングに行ってきました。

この日は、中国大陸から大量の黄砂が飛来していて、青空なのに少し黄みがかった濁った空気に包まれていました。冬季は宝塚と有馬を結ぶバスが昼間運休となっているため、JR生瀬駅から蓬莱峡までは徒歩になります。毎回歩いているのですが、道に歩道部分がほとんどなく、走る車がかなりのスピードで横を通るので気が抜けません。

知るべ岩と座頭谷バス停手前のヘアピンカーブにあるゲートから蓬莱峡の屏風岩へ向かいます。この土地の所有者がキャンプ場を運営していたそうで、ブルートレインが置かれていることで有名です。現在は閉鎖されているようですが、ゲートの扉は施錠されていないので入ることができます。(帰りに所有者の方とお会いしましたが、笑顔で接していただきました。)
蓬莱峡、座頭谷周辺の風景は、何度見ても絶景です。芦屋のピラーロック周辺も素晴らしいですが、この辺りは広範囲でより荒々しい風景を見せてくれます。日々風化が進んでいるのだと思いますが、少しでも長く後世にこの景色を残せればよいと思います。この場所でトレーニングする私が言うのもおかしな話ですが、こういった貴重な景観地でアイゼントレーニングすることは決していいことではないですよね…と個人的には思います。


前述の通り、私はクライミングを目的とした山歩きを目的としていないので、大屏風岩の緩斜面で基本的なロープワークやセルフビレイ、登下降、懸垂下降を反復練習しています。緩斜面は、中央部は傾斜も緩やかでフリーで登ることはできます。右側はやや傾斜が急な個所もあります。左側はかなり勾配もきつくなっています。


私は技術面より安全を確保するための意識を身につけることが主体になっています。大丈夫だと思うところでも、要所にあるピンなどにセルフビレイをとる習慣づけなどが大切だと思っています。
右側や中央部では、設置したロープにプルージックやマッシャー、クレムハイストなどフリクションノットで確保して登下降を反復練習します。下降の時、できるだけつま先を真っすぐ向けた状態で下りることを念頭に置いています。できるだけ極限まで腰は落とさないようにしていますが、限界だと思った時は腰を落として安全に(笑)
緩斜面左側は、勾配がきつく前向きで下ることは無理なので懸垂下降の練習場所にしています。ATCガイドも持っているのですが、緊急時には装備していないこともあるので、フリクションノットで確保して肩がらみで反復練習します。クライミングではなく普通に山を歩いている時に対応できないと意味がないと思っています。

山を歩く時はかならずザックの中にツエルトは入っています。ツエルトはテント代わりに使用することもあると思いますが、主たる目的は、緊急時の降雨、降雪から身を守ること、同時に体温低下を防ぐことだと思います。場合によっては、被ることでも十分役割を果たしてくれます。ポールも持っていない時には、その場にあるものを利用して設営できるようにならなければいけません。綺麗に設営するより目的に合わせて素早く設営することが必要です。

トレーニングで私が重視しているのは、岩場のトラバースです。大屏風岩、小屏風岩の下部には、トラバース練習をした跡が沢山あります。講習会なら大屏風岩を横断するルートで練習しますが、一人の時はここで練習しています。低い位置なので安全ですが、その反面、怖さや危機感を感じにくいのが欠点です。ただ、山を歩く上でトラバースは避けて通れない場合も多いので、練習は欠くことができないと思っています。
こんな感じで年に数回蓬莱峡でトレーニングしています。登山は自然を相手にする趣味なので、起こりえることを想定しながら安全に楽しまないといけません。そのためには反復して身につけることが大切だと思います。
