金剛山の夏花(2021年8月11日)
「地球温暖化」が話題になり始めて相応の時が経ちますが、近年では「脱炭素」が世界的な注目のキーワードになっています。先週登った伊吹山でも、温暖化の影響で鹿が生息域を拡大して山頂のお花畑を餌場にして大きな打撃を与えたと言われています。その他の山域でも生態系や植生に少なからず影響が出ていると思います。何よりも近年の気象変動が一番如実に温暖化の影響を示しているのだと思います。
今夏は、猛暑が続くと思っていたら一変して梅雨のような長雨、そして災害レベルの降水量、雷雨など天候異変が続いています。そんな天候合間を掻い潜って金剛山を歩いてきました。細尾谷(シルバー、木場道)から登り、山頂遊歩道をあてもなく歩き回り、寺谷を下りました。

ご存じの方も多いと思いますが、写真の通りロープ―ウェイ駅からカタクリ尾根周辺は、工事が行われています。看板は百ヶ辻に掲示されています。「工事作業区域」「林業作業区域」「立入、入山禁止の表示がある地域」「登山道以外(特に植林地)」への立ち入りは、控えるようにして下さい。地権者の方などとのトラブルにつながります。最低限の登山者のマナーは守りましょう!

百ヶ辻から伏見林道を歩くと、クサアジサイが今が盛りと優しいピンクの花を咲かせていました。もう秋の名がつくアキチョウジやアキギリが際始めていました。異常な天候変動の下でも季節は着実に進んでいるようです。

マネキグサ(招草、学名:Loxocalyx ambiguus (Makino) Makino)
別名をヤマキセワタと言うそうです。和名は花を招き猫の手に見立てたことに由来とのこと。環境省のレッドリスト準絶滅危惧(NT)に指定を受けています。金剛山では、昔から沢沿いで見かけることがありましたが、近年株数が増えたようで、小さな群落を見ることができました。※写真は、細尾谷(シルバー、木場道)の群生地にて
ヒナノウスツボ(雛の臼壺、学名:Scrophularia duplicatoserrata)
ヒナノウスツボも金剛山では個体数が少ない花ですが、マネキグサ同様に株数が増えてきているような気がします。マネキグサよりやや日当たりの良い場所に自生しています。先日、伊吹山で見たオオヒナノウスツボよりは小さな花ですが、背丈は1m程度あります。 ※写真は、細尾谷(シルバー、木場道)の群生地にて

寺谷からカタクリ尾根、香楠荘尾根にかけて林業作業が盛んに行われていた山域です。細尾谷は、別名「木場道」といわれ木材を運搬する道でした。数年周期で行われる伐採作業などの期間は、この山域は通行止め(入山禁止)になることもあります。また、植林地の斜面を保護(踏み荒らしによる崩壊)するために、登山道以外は歩かないようにして下さい。
植林地だけではなく自然林も多く、沢沿いの道なので植生も豊かです。色々な花が咲いています。

細尾谷から登り、山頂付近を散策した後、ロープ―ウェイ駅、ちはや園地方面へ山頂遊歩道を歩いてみました。マネキグサの群落が遊歩道沿いにあったのには少し驚かせられました。ヒナノウスツボもマネキグサも金剛山でも個体数の少ない花でしたが、自生地が広がっているようです。これも温暖化の影響があるのかもしれませんが、自然が豊かになってくれる効果があるのならうれしいのですが・・
上の写真は、ツチアケビの実です。今年は、金剛山でも遊歩道沿いなど比較的目につきやすい場所で咲いているのを見かけました。比較的見つけやすい腐生植物ですが、これほど見事に結実した株を見るのは初めてでした。ちなみにツチアケビの実は、乾燥させて焼酎に漬けこんでツチアケビ酒にしたり、漢方では滋養強壮薬として販売されているそうです。

久しぶりに山頂遊歩道をあちらこちら散策して、寺谷の下り口へ移動しました。寺谷では、好きな花・シギンカラマツが咲いているはずなので楽しみにしていましたが、いつもの場所でちょうど見頃の花盛り…繊細で清楚な白花をたくさん咲かせていました。
