灼熱の先に天空の花(伊吹山)
山を登り始めて2年弱の頃(2015年)、初めて伊吹山に登りました。初めて登る伊吹山は、大きな危険個所は無いものの、歩行距離、累積標高とも近畿の山でも体力のいる登山ルートでした。そんな伊吹山が多くの登山者で賑わう理由は、もちろんアルプスチックな道、日本百名山のひとつなどがありますが、私的に一番の要因は、近畿地方では特筆すべき高山植物など山野草の宝庫であることだと思っています。真夏の伊吹は、灼熱地獄という表現がピッタリな過酷な行程ですが、そのご褒美に色とりどりの花が迎えてくれ、ここに来る喜びを与えてくれます。
この日の山行き記事は、『真夏の伊吹は灼熱地獄(伊吹山)』をご覧下さい。
【三合目山野草保護地域】
三合目には、山野草保護地域、オカメが原、日本武尊遭難の地、伊吹高原ホテル跡とかなり広大な草原地が広がっています。登山中にこの広大な草原をすべて探索することは無理なので、山野草保護地域周辺を主体に歩くことにしています。山野草保護地域は、鹿よけのネットが張られていますが、立入は自由にでき探索をすることができます。この時期は、ユウスゲが咲き誇るのですが、その名が示す通り夕方から日の出までが開花時間となるため、日中に登山すると開花している姿を見ることができません。今回は、スタート時間が遅く、かなりスローペースで歩いたことが幸いして、下山時に少しだけ開花を始めたユウスゲを見ることができました。
【登山道で見かけた花々】
登山口から一合目、二合目、三合目までは、一部樹林帯の中を歩きますが、ハグロソウをはじめ色々な花を見ることができます。五合目から山頂手前までの登山道にも季節ごとに多くの花が咲きます。ただ近年、五合目から山頂手前までの斜面がかなり崩れていて、山野草が減ってしまったような気がします。(イブキガラシ、フジテンニンソウ、オドリコソウ、イブキシモツケなど)
【山頂付近】
地理的、地質的、気候的な立地条件から伊吹山にのみ自生する伊吹山固有種、北方系要素の植物、多雪型日本海要素の植物、好石灰岩植物がみられます。平成15年7月には、標高1,200メートル以上の「伊吹山頂草原植物群落」が国の天然記念物の指定を受けました。伊吹山の名前がついた固有種も多く自生しています。しかし、地球温暖化の影響、鹿が徐々に山頂にも多く出現するようになったこと、外来種が流入、登山者の踏み荒らしが原因で、自生していた植物が激減してしまいました。近年、鹿よけネットの設置や人の立ち入り制限などを行うことで、徐々に以前のお花畑の姿を取り戻しつつあります。まだ、柵の中でしかその風景を見ることができませんが、早く以前のような豊かな植生が戻ることを祈っています。
