ひとりでできること
今年初めて登山インストラクター更新講習会の案内があったのですが、残念ながらコロナウイルス感染拡大の影響で開催は延期になりました。私自身アルパインなど高度な山行きを目指しているわけではないので、岩場歩行、ツエルト設営、ロープワーク、ロープ結束などは日頃の山行きではあまり経験を積むことができません。山岳連盟の講習会は、そんな練習の良い機会だと思いできるだけ参加したいと思っています。それでも「ひとりでできること」は定期的にやろうと思い、久しぶりに蓬莱峡へ行ってきました。
蓬莱峡へは、県道51号宝塚唐櫃線は交通量も多く、駐車地もないため車でのアクセスは難しく、宝塚駅(阪急、JR)から有馬温泉方面へのバスを利用するのが一般的です。 ただ、運行本数が少ないため、運動を兼ねてJR生瀬駅から歩くようにしています。片道約3km強で準備運動としては良いのですが、車道に歩道がなくカーブも多いので歩き辛いのが難点です。
この日は平日ということもあり、休日は賑わう蓬莱峡も貸切状態でした。お天気も良く先ずは、日頃ザックの中で眠っているツエルトを設営する練習から始めました。立木が多くある場所ではツエルト設営も簡単ですが、立木が少ない場合は現地にあるものを利用して設営する必要があります。今回は片側を立木に、反対側は流木を石で固定して支点を作りました。流木側はしっかり固定することを重視して、高さは必要としません。但し、高さがとれない場合は、入り口が立木側になるようにすると出入りが楽です。テントではないので形を整えるのは難しいですが、エアーマットを敷いたり、ザックなどを置くことで空間を確保することができます。緊急時に使用するアイテムなので、できるだけスムーズに設営できるように色々なシチュエーションで練習をする必要がありますね。
ツエルト設営の練習を終えてから大屏風岩右側にある緩斜面で登下降の練習をするためにロープを設置しに向かいました。先ずは、中間テラスに登り20mロープを設置。その後最上部まで登り30mロープを最下部まで垂らしました。緩斜面と言えども足を滑らせれば最下部まで滑落することは間違いないので慎重に登りました。
私は本格的にクライミングをする登山スタイルではないので、緊急時に対応できるように最低限の知識や技術を身につけることが目的で練習しています。どんな時でもセルフビレイを忘れず、基本的なロープワーク、結束や歩行技術など安全確保を重点的に反復練習…講習会に参加して得た知識や技能を忘れないようにするためにも一人でできることはやるようにしています。
蓬莱峡は兵庫県西宮市の六甲山地にある峡谷で、風化した花崗岩が造る景色は「バッドランド(悪地)」と呼ばれる地形です。
2時間ほど緩斜面で練習した後、ガスヘッドでお湯を沸かしランチタイム…普段は行動食程度なのでガスヘッドを利用することも練習のひとつです。午後のスタートは、大屏風岩下部で岩場のトラバース練習。普段の山行きでもトラバースの機会は多いので大切な練習のひとつです。見た目より難しく、ルート確認と選定が重要なポイントです。低い場所での練習なので怪我はしませんが、本番では「滑落=大怪我(死)」につながるので真剣に取り組みます。
トラバース練習の後は、ロープ1本を傾斜のきつい場所にかけ替え登下降と懸垂下降の反復練習。
約4時間半の練習でしたが充実した一日を過ごすことができました。普段の山行きでは練習している技術が必要な訳ではありませんが、自然を相手に楽しむ趣味である以上、思わぬ状況に遭遇してもある程度対応できるようにしておきたいですね。

