真夏に響く沢音(金剛山)
大峰や台高の沢になかなか行けていないけど、やっぱり真夏の沢歩きを忘れることができない。8月9日に高天谷を遡行して以来、猛暑の低山歩きを続けていました。昨年、大阪府山岳連盟主催の登山インストラクター講習を受講した同期の仲間から金剛山で沢登りをしたいとの相談があり、石ブテ西谷を歩いてきました。普段は他人と山を登ることはしないのですが、お互いの技量もわかっているので無理せず真夏の沢歩きを楽しむことができました。
石ブテ西谷は、石ブテ尾根と北尾根(青崩道)に挟まれた谷で、金剛山の中では大きめの滝が連続する秀渓です。沢登りのグレーディングとしては初心者クラスの初級、1級程度ですが、金剛山では奈良県側の高天谷やイワゴノ谷に次ぐ難コースと言えるかもしれません。ちなみに沢登りの要素としては、泳ぎ、徒渉(登攀)、高巻きがありますが、石ブテ西谷は、徒渉(登攀)要素だけです。
石ブテ尾根、青崩道から石ブテ西谷に下りてしまい、谷を下降する方を見かけることがあります。懸垂下降の練習などで下降される方は別として、一般の登山者がこの谷を下ることは大変危険です。近年この谷で大怪我をされた方もおられます。もし、誤って谷に入ってしまった場合は、迷わず引き返して尾根道に戻るようにして下さい。
昔は、石ブテ林道を最終地点まで歩き、その先から石ブテ西谷へ入渓していました。近年の台風や豪雨の影響で沢が洗い流され、現在はもう少し手前から入渓できるようになっています。
石ブテ林道の終点地点にかかる7~8m程度の滝は、以前は木々に覆われ登山道から垣間見える程度でしたが、今はその姿をはっきりと見ることができます。以前はなかったお助けロープが滝の左端にかけられています。滝はやや丸みを帯びて直登するには、やはり左側を登攀するのが妥当だと思います。お助けロープは、あくまで補助的なもので絶対に頼ってはいけません。
前述した通り、この谷の良いところは落差のある大きめの滝が連続することです。樋状の滝の上に最初の大滝が現れます。この滝にも以前はなかったお助けロープが左側にかけられていました。左側を登れば簡単ですが、右側から登り中間のテラスを左側にトラバースする楽しみがあります。この程度の水量でもトラバース時にたっぷりシャワーを浴びることになります。
この谷は、沢登りとしても十分楽しめる谷です。花崗岩の岩肌もとてもきれいで風景としても秀逸だと思います。屯鶴峯(香芝市)でも言えることですが、この谷でもアイゼントレ(無雪期)をされる山岳会や登山者がおられます。しかし、登山は自然の中で楽しむもの、本当に山が好きと言うなら動植物保護だけではなく、山自体を傷つける行為もやめてもらいたいものです!!
石ブテ西谷を最後まで詰めると、大日岳直下の道に合流できます。ただ、植林地の中を枯れた谷筋を登る道で、私は写真の分岐からセトに上がります。初めての方は、話のネタに最後まで詰められても良いかもしれません。
山頂広場で休憩と昼食を楽しんだ後、猛暑の下での山行きなので、沢沿いを歩くことで最後まで涼を得たいともみじ谷で下山しました。バスの時間に合わせて駆け足での下山でしたが、やっぱりもみじ谷はゆっくり歩きたい良い道でした。