繊細なる氷の造形(金剛山)
例年に比べ金剛山の初冠雪は遅めでしたが、今冬は寒さが厳しいとの長期予報が出ています。金剛山は大阪都市部から1時間程度で登山口まで来ることができるアクセスの良い山です。冬季には、西から吹き付ける季節風が樹木に霧氷を漂着させ、素晴らしい風景を見せてくれます。また、標高800m以上にある滝では、氷瀑と呼ばれる滝が氷りつく現象を見ることができます。今回は、その氷瀑で有名なもみじ谷の第六堰提へのルートをご紹介します。

水越峠から林道ガンドガコバ線(ガンドガコバ林道)を歩き、越口、金剛の水を経てカヤンボへ向かいます。


もみじ谷は、沢沿いによく踏まれた道が続いています。沢沿いの道のため、厳冬期になると斜面を伝う湧き水が凍り付いて、滑りやすくなります。その時の状態をよく判断して、必要に応じてチェーンアイゼンや軽アイゼンを装着して下さい。
第五堰提を越える辺りから、道幅が狭くなったり、浮石が多い沢道を歩くことになります。


この日は、今冬最初の寒波が襲来した後で少し気温は緩んでいましたが、色々な形をした氷の芸術品が沢沿いで見られました。
第六堰提は、ツツジ尾谷の二ノ滝と共に金剛山では氷瀑する滝として有名です。近年は温暖化の影響もあり、なかなか完全な氷瀑を見ることができていません。氷瀑は、-5~-7℃の日が1週間程度続くことが必要だと言われています。今冬は、例年になく大陸の高気圧が強く寒い日が続くと言われていますので、綺麗な氷瀑を見ることができるかもしれませんね。
上の3枚の写真は、2012年2月に撮影した第六堰提の氷瀑風景です。ほぼ完全に氷瀑して下段の小滝はドーム形状になっています。

冬季のもみじ谷で最も注意が必要な場所が、第六堰提の巻き道です。下の4枚の写真が巻き道の様子です。無雪期でも道幅が狭く、落ち葉が積っていて滑りやすくなっています。厳冬期には、積雪や凍結でより危険度が増すので注意が必要です。

第六堰提を越えて少し歩くと旧本流と本流ルートの分岐に差しかかります。もみじ谷は、谷の終盤で多岐に分かれています。それぞれ山頂側の尾根へ辿りつきますが、急峻な斜面が続くことが多く、一般的には本流ルートを歩かれる方が多いと思います。


本流ルートで尾根道を辿るとかなりの急坂が続きます。道は転法輪寺の北側に続く道に合流します。

12月初冬の金剛山、積雪量は多くありませんが、山全体を薄っすらと霧氷が覆う冬景色を見せてくれました。これから次々と寒波が襲来し、積雪量も増え、山道も雪をかぶったり、凍結したりします。手軽に雪山を楽しめる金剛山ですが、冬の山道は危険と隣り合わせです。チェーンアイゼンや軽アイゼンは、金剛山でも必需品です。安全登山を心がけて冬山を楽しみましょう。
