山澄むもみじ谷(金剛山)
秋の訪れとともに、紅葉に彩られて華やぐ山々のことを『山澄む』という言葉で表すそうです。夏の名残をとどめる青々とした山から、紅葉に彩られる秋への季節の移り変わり。澄んだ空気の中で、日差しを浴びて浮かび上がる紅葉のグラデーション。そんな言葉がピッタリの金剛山もみじ谷を歩いてきました。蛇足ですが、もみじ谷の名前の由来についてはっきり書かれたものを見たことがありません。もみじ谷周辺は、ブナの原生林で少なくともモミジ(カエデ)類は多くありません。あくまで私見ですが、もみじ谷の上流部は支谷が多く、もみじの葉のように派生があることが名前と関係しているんじゃないかと…勝手に思っています(笑)
もみじ谷へは、水越峠からガンドガコバ林道を歩き、金剛の水、ダイトレ分岐を経て林道が大きくUターンする所から入渓します。
もみじ谷は、沢沿いに道があり一般の登山靴で歩くことができます。大きな危険個所はなく、老若男女問わず楽しく歩くことができます。但し、沢道全般に言えることですが、最後に尾根へ上がる急登があります。また、谷の終盤は多くの支谷があり、事前に歩くルートを調べて道に迷わないようにして下さい。
昔から狼谷を遡行する谷道と左側の尾根に登る尾根道がありましたが、歩かれる方はほとんどなく、取付きの二股も鬱蒼としていました。最近、歩かれる方も増えていると聞きます。ただ、植林地は今も伐採期間があるはずなので、迷惑にならないようにして下さい。
第五堰提は、狭いV字の谷にかけられ手前に小滝が流れ落ちています。左岸を歩きますが、滑りやすいトラバースになるので足元に注意して歩いて下さい。また、堰提右側の段差には、ロープと木製の梯子がかけられていますが、不安定なので注意が必要です。
第五堰提から第六堰提に向かう途中に二股があります。第六堰提には、右股を進みますが、左股は谷道と真ん中の尾根に取付く尾根道があります。左股の最終は、サネ尾、カヤンボ谷から一の鳥居またはカタクリ自生地に向かう道に合流します。
第五堰提から第六堰提までの区間は、もみじ谷を象徴する景観を見ることができます。両側の尾根が迫り綺麗なV字型を描く谷は、紅葉時期になると上部が燃えるように色づき、沢には落葉が敷き詰められとても綺麗です。
ご存じの方も多いと思いますが、第六堰提は厳冬期に氷瀑することで金剛山の名所のひとつです。ここ数年は、暖冬の影響もあり、完全な氷瀑になることはなかったのですが、今冬は寒くなると言われているので、ツツジ尾谷の二ノ滝共々氷瀑が楽しみです。
上記の写真は、第六堰提を巻くトラバース道です。道幅が狭い上に湿潤で落ち葉が積もっていることがあります。また、厳冬期は、積雪、凍結していることも多く滑落には十分注意が必要です。
前述した通り、もみじ谷の終盤には支谷が多く、それぞれに辿りつく場所が異なります。上の写真は、左側が本来の本谷で旧本流コースと呼ばれています。右側は、本流コースと呼ばれています。それぞれの支谷も先でさらなる分岐があります。今回は、今は歩かれる方が少なくなった旧本流コースを辿ってみました。