梅雨空に輝く白銀花(金剛山)
雪解けとともに芽吹き花を咲かすスプリング・エフェメラルに始まり、いろいろな花に彩られる金剛山ですが、梅雨時期になると目立つ花が少なくなります。ギンバイソウ(銀梅草)は、そんな梅雨時期に山を彩る数少ない花のひとつです。『白銀』とイメージしたのは、派手さはないものの輝きを持つ白色と宝石のような花姿が、清楚でありながら目を引くからです。
ギンバイソウは、金剛山ではカトラ谷に多く見ることができます。
そのカトラ谷は、昔から風化などによる斜面の崩壊が続いていています。2017,2018年の台風豪雨では、大規模崩落により砂防工事が行われました。カトラ谷周辺の自然林は国有地のため工事着工は非常に迅速に行われました。しかし、補修は応急処置的なもので自然治癒を期待する工事手法で、登山道の大半は崩落したままです。山頂からは通行止めのテープが張られていますが、何故か黒栂谷道からの入渓ポイントには何も表示されていません。以前に比べると入渓者は格段に少なくなりましたが、それでも入渓する人は後を絶ちません。補修個所を人が歩くことで固まるといった誤った考えを持たれる方が多いようですが、実際は人が歩くことで法面などが削られ、崩落を助長することを知ってほしいものです。登山道の状況は、私が信頼している『金剛山登山情報』にも記載がありますので参考にして下さい。
一番奥の堰てい上部には土砂が堆積し、数は少ないですがギンバイソウが咲いていました。
ギンバイソウ(銀梅草、学名:Deinanthe bifida)
日本が原産で本州の関東地方以西や四国、九州に分布しており、山地の林床、渓谷林などの湿り気のあるところに自生し群落しています。苞の中から梅の花に似た両性花(1ツの花に雌蕊、雄蕊が両方あるもの)と、花びらが退化した3枚の花びらのように見える萼片を持った装飾花をつけています。蕾は淡いピンク色ですが、開花すると純白の花になります。
今日の目的はギンバイソウということもあり、カトラ谷の様子を確認した後、わさび谷の尾根へ急斜面を登りました。私的には、補修個所を人が歩くことは避けてほしいと思っています。まして沢の水が茶色く濁っている時は、上流で斜面が規模は別として崩落(削られている)していることを示していますので、たとえ遡行できるとしても安全な登山を考えれば避けるのが原則だと思います。