安全に山を登るために
今まで独学で山歩きを続けてきましたが、今年はその経験を裏付ける確かな自信をつけたくて、目標をもって山に登ろうと思っています。そのための第一歩として、大阪府山岳連盟の講習会に春から参加することにしました。昨日は、読図とビバークの実地講習会として、紀見峠駅から滝畑ダム(夕月橋)まで歩いてきました。
一つ目の課題は、GPSと地図の連携でより正確なルートファインディングができるようになること。
バリエーションルートを交えながら、現在地の確認、地図への落とし込みとルートファインディングを行いました。GPSやスマホなどの最新技術を利用して現在地(緯度経度)を把握し、地形図でルートを確認する。GPSで事足りることが多いと思いますが、全体行程の把握や低山特有の浅い支尾根、支谷の把握は地形図の方が確実に行えます。また、機器の充電切れや故障も想定されるため、地図とコンパスは今も必需品だと再確認できました。
二つ目の課題は、緊急時のビバークが行えること。装備は整えていてもなかなか使う機会がない緊急時の装備。適切に手早くツエルトを設営したり、ガスを使って暖をとり栄養補給をするなどができるようになるためには、日頃から定期的に練習が必要ですね。日頃、機会がある時に練習を重ねることが、万一の備えになると思います。
三つ目の課題は、天気の予測。前日の天気図から当日12時と18時の天気を予想するというもの。天気図上の高気圧と低気圧の配置、季節風や偏西風の流れ、等圧線の配置状況など基礎的な知識は知っておくべきですね。
四つ目の課題は、登山計画書の作成と概略図の作成。今までも登山届は作成して提出していますが、エスケープルートの設定やルート全体の行程を把握できる概略図の作成は、今後も必要なことなので参考になりました。
計画を作成する際に参考になる指標がいくつかあります。
登山ルートの難易度を判断する材料の一つに『ルート定数(鹿屋体育大学・山本正嘉教授が定義)』というものがあります。主に体力的な判断材料として目安にすることができます。
ルート定数=1.8×行動時間(h)+0.3×歩行距離(km)+10.0×登り累積標高(km)+0.6×下り累積標高(km)
この計算式で算出された数値は、下記のような目安とされています。(求められた数値に体重とザックの重さの合計をかけて得た数値が消費カロリーと言われています)※行動時間は一般的なコースタイム
- 10前後 体力的にやさしく初心者向き
- 20前後 一般的な登山者向き
- 30前後 日帰り登山の場合、健脚者向き
- 40以上 日帰りでは困難。1泊以上の計画が必要
ちなみに今回の山行きは、1.8×5.0h+0.3×12.98km+10.0×0.847km+0.6×0.789km=21.83となります。
その他にコースタイムは、水平移動距離1kmで高低差300mを登る場合、60分かかるというデータがあるそうです。水平移動は通常15分/kmと考えられているので、単純に考えると100m登るのに15分かかっていることになります。当然、水平移動距離の違いや道の状況、荷重などを加味する必要がありますが、計画書作成時のタイムスケジュールの参考になります。




バリエーションを歩く際は、最初に目的地までのルートをイメージしておくことが大切。この日も谷沿いから尾根へのルート取りで指摘を受けましたが、踏み跡を辿るだけではダメですね。







根古峰の開けた場所でビバークの練習…ツエルトを張るための場所選び(傾斜、ロープ、土壌、風など)と設営を行いました。設営後、中でガスで湯を沸かすところまでが今回の課題でした。特に難しいわけではありませんが、緊急時の想定では、設営時間も短時間で行うことが要求されるので、日頃から定期的に練習しておくことが望ましいですね。







バリエーションルートは、尾根芯を外さないようにルート取りする課題でしたが、支尾根、支谷入り組んでいて、こまめに確認が必要でした。ルートファインディングは、机上の理論だけではなく実地の経験から得られる勘も必要だと実感しました。

