花咲く高島トレイル
滋賀県高島市にある「中央分水嶺・高島トレイル」は、マキノ町愛発越(あらちごえ)から朽木の三国岳まで連なる中央分水嶺 で様々な気候を併せ持つ自然豊かな縦走路です。深雪地域ということもあり豊かな湧水が琵琶湖に流れ込むことから琵琶湖の水源としても知られています。また、その昔から近江商人が荷物の運搬など、暮らしのなかで使っていた道でもあります。
今回はマキノ高原から赤坂山へ登り、赤坂山から三国山へピストンした後に寒風を経由して周回してきました。期待通り登山道には、トクワカソウ(イワウチワ)、オオイワカガミ、トキワイカリソウ、カタクリ、オオバキスミレ、イワナシ、バイカオウレンなど多くの山野草が咲き乱れていました。



アオダモ(青梻) サルトリイバラ(猿捕) スミレの仲間 ミヤマカタバミ タチキランソウ キランソウ ニシキゴロモ アセビ オオカメノキ ハウチワカエデ(羽団扇楓) クロモジ(黒文字)
オオイワカガミ(大岩鏡、学名:Schizocodon soldanelloides var.magnus)は、イワウメ科イワカガミ属の常緑の多年草です。イワカガミの中でも、葉が大型で円形、長さ幅ともに8-12㎝になり、縁に多数のとがった鋸歯があるものです。北海道南部から本州の東北地方、中部地方の日本海側に分布し、多雪地帯のブナ林の林床に群落をつくります。高島トレイルでは、主にブナ林の山腹に群落が広がっています。
トキワイカリソウ(常盤碇草、学名:Epimedium sempervirens)は、メギ科イカリソウ属の多年草です。東北地方から山陰地方の日本海側多雪地の山野の林内に生えます。花は直径3〜4㎝で、4〜5月頃に白色〜紅紫色の花咲かせます。ただ、イカリソウの分類には処々学説があり、トキワイカリソウは白色で、紅紫色のものをオオイカリソウとする説もあるそうです。




積雪量の多い日本海側の山地に広く分布するオオバキスミレ(大葉黄菫 学名:Viola brevistipulata (Franch. & Sav.) W.Becker)は、赤坂山を中心に高島トレイルでは多く見ることができる黄色いスミレです。


雪解けを待つようにして山を彩るイワウチワ…ここ高島トレイルでは、日本海側に多く見られる地域変種としてトクワカソウ(徳若草)と呼ばれています。三国山と明王の禿の区間に幅広く群生しています。
春に比良や湖北の山々を登る楽しみのひとつが、ピンク色の可愛い花を咲かすイワナシの花との出逢いです。ツツジ科イワナシ属の常緑小低木で、今年も逢うことができました。このイワナシの果実は、とても高価な果物としても知られています。


ヤブコウジ(藪柑子)
内陸側の琵琶湖 日本海側の若狭湾 寒風峠手前
スプリング・エフェメラル(春の妖精)を代表するカタクリ(片栗、学名:Erythronium japonicum Decne.)高島トレイルでは、群生するのではなく林床や草原に個体が点在して花を咲かせています。積雪量が多い地域のためかやや小ぶりの印象で、とても可愛いですよ。

