奥駈けの絶景を求め(椽の鼻)
大峰山脈の釈迦ヶ岳には、色々思いもあって年に一回は訪れたいと思っています。厳冬期は登山口までのアクセスにも難があって主に11月から12月の初冬時期に霧氷風景を楽しみに登ることがほとんどです。今回は、稲村ヶ岳でオオミネコザクラを見逃したこともあり、釈迦ヶ岳から大峯奥駈道を北進してオオミネコザクラとツガザクラを見に行ってきました。
太尾登山口から釈迦ヶ岳へは、P1434からなだらかな尾根が続き、老若男女問わず風景を楽しみながら歩くことができます。それに反して、釈迦ヶ岳から八経ヶ岳に向かう大峯奥駈道は非常に険しく、特に孔雀岳までの区間は西側が切れ落ちた岩場を歩くことになります。オオミネコザクラやツガザクラなどは、その険しい岩場に自生しています。また、『椽の鼻(えんのはな)』と呼ばれる岩壁の突端からは、大峯奥駈道随一と言われる大峰山脈の絶景を見ることができます。
太尾登山口から釈迦ヶ岳、深仙の宿に関しては『のんびりお釈迦様詣で(釈迦ヶ岳)』をご覧下さい。
この日は、太尾登山口から釈迦ヶ岳へ登り、孔雀岳方面へ大峯奥駈道を歩くことにしました。当初の計画では、孔雀岳までを考えていましたが、シロヤシオを見たくなり象の鼻で折り返し、深仙の宿に行くことにしました。
釈迦ヶ岳周辺は、南北の尾根で山容がかなり異なります。太尾登山口からのルートは、なだらかな尾根道ですが、北側尾根は大峯奥駈道の中でも険しさが際立つ尾根道になります。馬の背と呼ばれるナイフリッジは、ほんの数メートルですが両側が切れ落ちていて慎重さを求められる場所です。それ以外でも孔雀岳までは急峻な岩場が多く続きます。
オオミネコザクラ(大峰小桜、学名:Primula reinii var. okamotoi)は、さすがに花期終盤で少し色あせているものが多かったですが、それでもこの日まで待っていてくれたかのように可愛い姿を見せてくれました。空鉢岳周辺のオオミネコザクラは、稲村ヶ岳や大台ケ原より少し遅れて花期を迎えるようです。
大峰山第四十一靡『空鉢岳(くうはちだけ)』から見る釈迦ヶ岳は、太尾登山口からの尾根から見る山容とは異なり、まさに鋭鋒と言える姿を見せてくれます。眼下には、急峻な斜面にそびえる岩峰を見ることができます。
ツガザクラ(栂桜、学名:Phyllodoce nipponica Makino)は、本州(福島県から鳥取県)および四国(愛媛県)に分布し、高山の岩場に生育するとされています。大峰山脈でも八経ヶ岳など数か所で自生が確認されています。空鉢岳にも小規模ですが群落がありましたが、谷側に切れ落ちている岩場に咲いていて、写真を撮るのに苦労しました(笑)
「椽の鼻」は、孔雀岳の南側にあるテラス状の岩盤地です。「椽の鼻」には、蔵王権現が祀られています。釈迦ヶ岳の釈迦如来像、大日岳の大日如来坐像、この蔵王権現像の3体を鬼マサ(岡田雅行)が、担ぎ上げたことは有名です。
この「橡の鼻」からは、大峯奥駈道の稜線を含め大峰山脈の絶景を見ることができます。大峰の最深部から見る広大な山並みを最高のお天気の元見ることができたことに感激しました。険しい道が続くルートですが、この絶景は必見の価値があります。
橡の鼻から数分で行ける「両部分け」に立ち寄るのを忘れたことが残念でしたが、この後深仙の宿へ向かいました。