碇草咲く郵便道(金剛山)
奈良県御所市の高天地区から尾根伝いに一の鳥居に通ずる道は、昭和10年から終戦まで御所側の郵便局員が、徒歩で山頂まで郵便物を配達したことに由来して『郵便道』の愛称で呼ばれていて、奈良県側からのメインルートとして多くの方が歩かれています。
郵便道は、昔から高天谷方向へ山抜けすることが多く、度々通行止めになってきました。2017年10月に本州に上陸した台風21号、翌年9月の台風21号での被害は大きく、高天滝周辺は景観が一変するほどでした。また、登山道も数か所崩壊しとても危険な状態になっていました。高天滝周辺の崩落で取付きがなくなった際は、いち早く地元の山主さんが、私有地に別の迂回路を開放していただきました。「い-5」と「い-6」の間の大きな崩落個所は、マツバカケ尾根を整備して迂回できるようにしていただきました。
高天地区や伏見地区周辺の地元の方は、昔から登山者に好意的で無料の駐車場を造っていただいたり感謝に堪えません。郵便道も「い-2」など数か所に今も「通行禁止」のプレートが付けられていますが、大きな崩落個所には迂回路も用意していただき通行できるようになっています。今、郵便道ではイカリソウが花を咲かせていて、その白い優雅な姿を見せてくれています。崩落現場を含め、郵便道を歩いてきましたので、記事にまとめてみました。『郵便道からカトラ谷(金剛山)』もあわせてお読み下さい。






郵便道もマツバカケ尾根もよく整備していただいています。最近、山野草が自生しているところには、踏み荒らされないように簡単な囲いが作られ、花の名前をプレートで説明してくれています。山に自生、生息する動植物は、すべて山主さんの所有物です。勝手に採ったり傷めることは違法行為です。でも、多くの人に愛でてもらいたいものです。「隠す」ことは自己中心的な行為で保護とは無縁のものです。積極的に保護することが大切だと思います。郵便道は色々な意味で素晴らしい登山道だと思います。

「い-5」から先は、右下の高天谷に向けて昔から崩落が続いてきました。その都度、補修が行われていて注意して歩けば問題がないようにしていただいています。注意喚起のプレートなど地方自治体を含め管理していただいています。

下の写真の箇所がもっとも登山道に影響があった場所です。以前の道は完全に崩落しています。その上に迂回路を設置していただいています。アルミ製の梯子を上り下りする際は、注意が必要です。また、上部の道を歩く際は、谷側に近づかないようにして下さい。



ダイトレに合流するまでの最後の登りは、数百段あると言われる階段地獄です(笑)それを登りきれば、ダイトレに合流して一の鳥居までは、それほど時間はかかりません。







日本に自生するイカリソウには、薄紫色の花の「イカリソウ」、白花の「ヒメイカリソウ」「トキワイカリソウ」、黄花の「キバナイカリソウ」が多いと言われています。金剛山のイカリソウは、九州中南部(沖縄を除く)・四国南部・紀伊半島・東海地方に分布の中心がある襲速紀要素(ソハヤキ要素)の種で、長年ヤチマタイカリソウ(八街碇草、学名:Epimedium grandiflorum)と言われてきました。それが数年前に学説が変わり、日本海側に咲くキバナイカリソウに分類されています。個人的には、ソハヤキ要素を持つヤチマタイカリソウの方がしっくりくるのですが・・
