柳生の道と石窟仏(春日山原始林)
昨年、一昨年と紅葉季節に足を運ぶ奈良公園と春日山原始林。毎年、少しずつ紅葉度合いも異なりますが、歴史、自然、風情を感じることができる場所です。今回は、紅葉は色づき初めということもあり、燃えるようなとまではいかないものの美しい風景を見ることができました。柳生街道(滝坂の道)を地獄谷石窟仏まで辿ってみましたが、剣豪たちが歩くにふさわしい落ち着いた雰囲気のある道でした。また、この山域一帯に多く見られる石窟仏のうち、地獄谷石窟仏と春日山石窟仏を見てきました。奈良時代、平安時代とも言われる古の時代に誰がどのようにして石仏を残したのか…色々思いを馳せながらのハイキングになりました。


自宅からアクセスが良いJR奈良駅から興福寺や奈良公園、春日大社、浮見堂を散策しながら、滝坂の道を目指しました。

柳生街道は、春日山と高円山の谷あいの道を通り、奈良市街地と柳生の里をつなぐ古道です。今回歩いた滝坂の道は、柳生街道の前半部分にあたります。道には石畳が敷き詰められている箇所が多くみられますが、これは江戸時代に柳生家が将軍家剣道師範となった頃に、街道の往来を良くしようと改修された名残だと言われています。非常に落ち着いた雰囲気で風情のある道です。
滝坂の道では、寝仏、夕日観音、三体地蔵、朝日観音、首切地蔵を見ることができます。ただ、あまり知識を持たず歩いたため、寝仏の姿が道と反対側にあることを帰ってから知ったり、高い位置にある夕日観音を見落としていたりとミスの連続でした(汗)
滝坂の道が能登川の渓流から離れる場所に「首切地蔵」があります。首のところで折れていて、荒木又衛門が試し切りをしたと語り伝えられていて、辻の地蔵として語り継がれています。像高約1.8mの地蔵菩薩で、鎌倉時代の作とされています。


この日最も紅葉が美しかったのが、首切地蔵周辺でした。日差しが入ると燃えるように輝き素晴らしかったです。
首切地蔵から地獄谷新池に足を運び、地獄谷石窟仏を目指しました。

地獄谷石窟仏は、採石のために凝灰岩質の岩盤をくりぬいた洞窟の壁に、釈迦如来像、薬師如来と十一面観音、右壁面には如意輪観音、左壁面に阿弥陀如来坐像と千手観音が線刻されています。洞窟は開口3.9m、奥行き2.9m、高さ2.4m。長年の風化で退色していますが、各所に美しい彩色跡が見られます。注)地獄谷石窟仏から石切峠への道は、崩落、倒木で通行できません。

柳生街道の石切峠に近い南面傾斜地に露出する凝灰岩の岩壁を掘り、その壁面に仏像を刻んで彩色された石仏です。東西の二窟からなり、西側のものには久寿2年(1155年)および保元2年(1157年)と刻まれていることから、平安時代末期(12世紀中期)の作品と思われます。地獄谷石窟仏と同じ作者ではないかとも言われていて、別名石切峠の穴仏とも呼ばれています。
石仏を色々見て回った後、柳生の里へ行こうと思っていたのですが、時間的なこともあり若草山へ向かうことにしました。春日奥山道路は、春日山原始林の中を通る自然豊かな道です。ドライブウェイでもあり車も通行しますので気を付けて下さい。

春日山原始林の北東端付近、佐保川の源流部に位置する小滝が「鶯の滝」です。名の由来は、水の流れ落ちる音が鶯(うぐいす)の鳴き声に似ていたことにちなんだものとされています。小さな滝ですが、水の流れ落ちるさまが美しい滝です。

若草山は、三つの笠を重ねたようなので「三笠山」とも言われています。高さ342m、広さが33haあり、山全体が芝生で覆われています。山麓、一重目、二重目、山頂(三重目)、鶯塚古墳周辺道などで、春には桜、秋の紅葉、ススキと四季折々の自然を楽しむことができます。今回は、紅葉は色づき初めでまだまだ緑色が目立っていました。



