シロヤシオ咲く行者還(行者還岳)
少し前まで国道309号90番ポイントから清明ノ尾に登り大峯奥駆道に出合うルートは、それほどメジャーなルートではなかったと思います。林業作業が盛んだった山域のようで、清明ノ尾には作業用の車が通れるくらいの道が整備されていたようです。その名残として有名な「タイタン広場」があります。近年、手軽に大峯奥駆道へ合流でき、多くの花が咲くことから登山者が急増しました。ちなみにこの日は平日でしたが、駐車地の国道309号90番ポイント付近にはかなりの車が駐車していました。
花の情報は、『梅雨空に咲く大峰の花(行者還岳)』をご覧下さい。
国道309号90番ポイントから清明ノ尾に上がる道もかなり古くから利用されていた道のようで、朽ちた木製の階段が今も確認できます。この道の途中には、ヒノキやスギ、ヒメシャラなどの巨木が多く見られます。この森の歴史を感じることができる道です。
大峯奥駆道に合流してからは、開けた尾根道が続きます。出合い地点では、弥山や八経ヶ岳、行者還岳や大普賢岳など大峰山脈の主要な山々を見ることができます。この時期、シロヤシオに花がつき尾根を白く彩ってくれます。
P1486付近は、石灰岩質のカルスト地形が見られ、石灰岩質を好む植物が多く自生しています。特にヤマシャクヤクやクサタチバナは大きな群落を形成して、多くの花を咲かせてくれます。
天川辻は、天川村の大川口と上北山村の天ケ瀬を結ぶ生活に欠かせない道だったようです。地形図には破線で今も記載がありますが、ほとんど歩く方はおられず廃道になっている状況です。
行者還避難小屋は無人の避難小屋ですが、ログハウス風の非常に綺麗な小屋です。無料で15人程度の収容が可能です。水場までは5分程度で行けますが、水量は少なく流れていない時もあります。
このルートで一番危険な場所は、行者還岳東側のキレットを通っている道です。木製の階段はかなり朽ちていて、補助ロープも頼ることはできません。急勾配な上、浮石も多く落石を起こしやすいので十分注意が必要な個所です。
行者還岳(ぎょうじゃがえりだけ)は、大峯奥駈道の大普賢岳と弥山の中間に位置し、南側は切り立った岸壁になっています。昔、行者がその山容を見て引き返さざるを得なかったことが山名の由来となっています。山頂は大峯奥駆道から少し離れています。
この日は、午後からお天気が回復し青空が顔を覗かせるようになりました。前述の行者還岳直下のキレット箇所を除けば、この区間の尾根道はアップダウンも少なく気持ちの良い尾根歩きを楽しめます。
今までは、国道309号90番ポイントから行者還岳、七曜岳、三国岳までピストンしていましたが、この日は一ノ垰から諭所ノ尾を行者還トンネル東口へ下ることにしました。一ノ垰までの尾根はシロヤシオが満開で、さながら花の回廊と言った素晴らしさでした。また、一ノ垰は大峰山七十五靡の五十七靡『一の多和』とされ金剛童子・護世童子を祀るとされています。
諭所ノ尾は行者還トンネル東口まで約400mの標高差があります。かなりの急勾配ですが、道は明瞭で大きな危険個所はありません。
下山後、青空が広がっていたので新緑のナメゴ谷登り龍を撮影しました。個人的には新緑の登り龍が好きです(笑)