錦秋の須賀ノ山(氷ノ山)
毎年足を運ぶ兵庫県最高峰の氷ノ山。春の花、紅葉の秋、モンスターが出現する厳冬期、それぞれ違った顔を見せてくれる秀峰です。ここ数年毎年紅葉時期に歩いている山ですが、今回も荒島岳(福井)か氷ノ山で迷った挙句、高速料金が安いのと快適な尾根歩きができる氷ノ山に行ってきました。昨年は、台風などで広葉樹の葉が落とされてしまい、紅葉時期のボリュームが乏しく、色づきもイマイチでした。今年は台風の上陸もなく、期待できるのではと出かけました。
昨年同様、福定親水公園に駐車して、東尾根登山口から時計回りに鉢伏山方面へ向かう計画を立てました。私事ですが、いつも大阪の自宅に6時までに帰れるように山行きを計画しています。遠出するとそれだけ行動時間が短くなってしまいます。今回は、福定親水公園を8時出発して3時帰着として、ぶん回しコースをどこまで歩けるか各分岐ポイントで足切り時間を設定しました。もし鉢伏山まで周回しようとすると鉢伏山を1時半頃出発しないといけない計算です。ハチ高原スキー場に自転車でもデポすれば、この計画でも可能性はあるのですが、私の脚力では時間内に踏破するのは少し無理がありました。
福定親水公園は、無料の駐車場があり、氷ノ山越えコースの登山口でもあります。トイレ、登山ポストもあり車でのアクセスも非常にいい場所です。ただ、紅葉シーズンともなると休日は6時頃には満車になるようで、なかなかハードルが高い状況です。今回は、平日だったので、8時前で10台程度(50%位)でした。休日に行かれる場合は、余裕を持って行かれる方がよいと思います。
福定親水公園から東尾根登山口までは、氷ノ山国際スキー場へ向かう車道を歩くことになります。交通量はほとんどないので、準備運動のつもりで歩くと良いと思います。道沿いには、四季折々色々な花を見ることもできます。
東尾根登山口から東尾根休憩小屋までは、水平距離約400m、標高差約200mとやや急勾配の登りになります。植林地帯で展望もなく黙々と歩く単調な区間になります。あまりペースを上げ過ぎず、着実に歩を進める方が良いと思います。
東尾根休憩小屋で、まど登山口からの道と合流します。小屋からは東尾根の稜線に沿って歩き、神大ヒュッテを目指します。道はよく踏まれていて大きな危険個所はありません。ブナを中心とした広葉樹の素晴らしい紅葉を見ることができます。
一の谷休憩所からは尾根の南側を回り込むように道が続きます。途中、湧き水が流れ湿潤な場所があり、水飲み場もあります。
笹原の中を通る道を辿って歩くと神大ヒュッテに到着します。神大ヒュッテの正式名は、神戸大学氷ノ山体育所(神大千本杉ヒュッテ)と言うそうです。1961年神戸大学山岳部とそのOB会である神戸大学山岳会が中心となって氷ノ山に建設されました。神戸大学の関係者以外の方の利用も事前に予約することで可能なようです。山頂まで近く厳冬期には非常に便利ですね。また、神大ヒュッテは、大段ヶ平登山口からの道との分岐点でもあります。
神大ヒュッテから山頂までは、穏やかな稜線歩きになります。途中に古千本、千本杉があり、湿性植物群落地を通ります。木道で植生保護されていますが、厳冬期はその杉に樹氷が付きモンスターとなることで有名です。
山頂から東側に200メートルほど下った標高1460m付近に、古生沼があります。幅30mで、長さ60mほどの湿原で、ヤチスゲ、エゾリンドウ、ツマトリソウ、アカモノなどの氷河期の植物が生き残っているそうです。貴重な湿原は、「古生沼の高地湿原植物群落」と呼ばれ兵庫県指定文化財の天然記念物に指定されています。
兵庫県最高峰の氷ノ山は、中国地方でも大山に次ぐ高峰です。標高800m以上の山腹にはブナの自然林広がり、兵庫県下でも有数の紅葉の名所でもあります。瀞川平や那岐山などとともに氷ノ山後山那岐山国定公園に指定されています。原生林が保全されており「21世紀に残したい日本の自然100選」や「日本の秘境100選」などに選ばれています。