行商人の辿った道(竜ヶ岳)
数年ぶりに遠足尾根で赤い羊たちに会いに登った竜ヶ岳。いつもは中道か金山尾根で下山するのですが、まだ歩いていなかった表道で石榑峠に下ってみました。石榑峠から竜ヶ岳を辿るルートは、いくつかある登山道の中では最短ルートになります。古くは三重県の行商人が三重県熊谷から石榑峠を越え、滋賀県古語録谷を経て、近江八幡へ往来していたと言われています。また、雨乞い信仰や爪引き地蔵伝説など竜ヶ岳を登る最も古い道だそうです。
注)カシミール3Dの有料オプション地図「山旅倶楽部(山旅地図)」は、現在通行止めとなっている裏道(ホタガ谷)が記載され、その代わりに整備された金山尾根の記載がありません。原因は、平成26年の国土地理院地形図をベースにしているためです。山道は年々状況変化するものです。国土地理院の地形図は、すでに修正されています。山旅地図の利用には注意が必要です。




山頂から南に登る稜線を尾根突端まで歩きます。途中、モウチ谷最上部で大崩落があったようで、道は少し西側に迂回していましたが、笹原の稜線歩きは気持ちの良いものです。但し、風が強い時や霧に包まれている時は、厄介かもしれません。

尾根の突端から重ね岩に向けて道は下っていきます。そこそこ急勾配の斜面を下りますが、道はよく整備されていて大きな危険個所もなく歩くことができます。笹原には、よく見ると沢山リンドウの花が咲いていました。
尾根突端から少し下ったところに「重ね岩」はあります。大きな岩が重なり合ったように見えることが名前の由来だと思いますが、実際は大きな岩が風化、侵食によってそのような見え方をしているのだと思います。南側は切れ落ちているので重ね岩に登るには少し危険が伴いますが、手がかりも足がかりもしっかりしているので、注意していれば問題ないと思います。



重ね岩から石榑峠までの道もよく整備されていますが、風化花崗岩のザレ場が数か所あったり、登山道の崩壊が進んでいる箇所がありました。このルートは竜ヶ岳への最短ルートで、人気があり多くの人が歩くため崩壊の進行が速いと思われます。


未踏だった表道を歩き終えて、宇賀渓キャンプ場まで戻りました。林道を歩いて小峠から宇賀渓本谷を歩くのが一般的だったのですが、途中で林道を間違えモウチ谷を経由して、ヨコ谷に降り立ち中道に合流して下山しました。
モウチ谷の営林小屋後辺りで林道は途切れてしまい、地図を頼りにモウチ谷を少し歩きました。その後、林道が現れましたが、再度ヨコ谷周辺で道は途切れましたが、ヨコ谷を通る中道に合流しました。
竜ヶ岳周辺にも多くの滝があります。宇賀渓キャンプ場内にある御所滝、北河内林道終点の白滝、宇賀渓を渡り魚止橋を渡った先には魚止滝、蛇谷から本谷に流れ込む五階滝、そしてその宇賀渓本谷最深部にある長尾滝など。機会があれば巡ってみたいです。

五階滝でダイモンジソウを見つけてのんびり撮影してから駐車場へ向けて歩きました。
この日もお天気に恵まれ、穏やかな竜ヶ岳を散策することができました。七大字生産森林組合・宇賀渓観光協会と連携して活動されている「竜ヶ岳 登山道整備の会」の皆さんが登山道の整備や植生保護など尽力されています。(HPは、https://www.suzuka-7mt-ryugatake.com/)
