待ち望まれて(金剛山/寺谷)
金剛山ロープ―ウェイ前バス停近くの百ヶ辻から伏見林道を歩き水飲み場に差しかかると寺谷、文殊東尾根ルートへの入路があり、少し登ると寺谷と文殊東尾根との分岐があります。寺谷ルートは、近くの細尾谷ルート同様、古くから林業が盛んに行われ、伐採と植林が繰り返されてきました。自然林も多く谷筋なので水も豊富、地元の方を中心に親しまれてきたルートです。
ただ、地質的に岩盤が脆く、古くから台風や豪雨により、倒木や崩落が多く見られます。また、植林地の道ではない斜面を人が歩くため、斜面の崩落が続き山主さんとのトラブルも続いていました。崩落などがあるたびに登山道の整備をされている山主さんには多くの迷惑をかける結果になっています。最近は通行止めにも関わらず、立ち入る登山者が相次ぎ、入路に有刺鉄線が張られるなどされていましたが、数日前から通行止めの立て看板、有刺鉄線とも撤去されていました。山主さんには感謝しかありません。
金剛山は国有林もありますが、多くは私有地であり、登山は山主さんのご厚意で成り立っています。また、冒険心や探求心も大切ですが、自然の摂理を理解して山を歩くことを心がけるようにしたいものです。







寺谷ルートに入ってすぐ左側斜面が大きく崩落している個所があります。ここ数年の台風や豪雨により崩落した現場です。厳しい通行止めをされていない時は、興味本位の登山者が多く歩いていたそうです。崩落した箇所を人が踏み固めるといった間違った認識を持たれている方が多いのは確かですね。現在は、通行止めの処置もあり道は安定しつつあるようですが、台風や豪雨によって再度崩落する可能性は高いような気がします。歩かれる方は立ち止まらず迅速に通り抜けるようにした方が良いと思います。




下記の写真は、2011年8月時点のものです。この場所は、右側(馬の背)植林地の崩落、その後の植林、間伐作業の集積などが行われていたようです。ビジュアル的には少し問題があったのですが、踏み荒らされないように登山道が絶えず整備されていました。

ほぼ同じ場所で今回撮影した画像が下記の通りです。パイオニア植物類の草類や低木が生い茂り昔の面影はありません。自然は9年かけて豊かな緑を取り戻しつつあります。当時過剰と思われた補修材は徐々に自然に溶け込み良い感じになっていました。


沢から尾根道へは、植林地の斜面を急登します。写真をご覧いただくと分かる通り、木の根がむき出しになっている個所が多く見られます。植林は自然林と違い、根の張りが浅くすぐに倒れてしまいます。この斜面も道以外の斜面を踏み荒らされ崩落と倒木が多発し、山主さんとのトラブルの原因にもなっています。踏み跡は数ルートありますが、明確な踏み跡を辿るようにして下さい。
色々問題のあった寺谷ルートですが、今回歩いて改めて自然の治癒力に驚かされました。コロナウイルス問題も自然からの警告だと私は思っています。地球という狭い空間の中で暮らす以上、人はもう少し自然のことを知り、大切にしないといけないと思います。昨今、他の山域でも登山者やカメラマンなどの身勝手な行動が原因で、山主さんとのトラブルが多く、立ち入りができなくなっている場所が増えています。アイゼントレなども同様の問題を含んでいますが、身勝手な解釈は避けるようにしたいですね。


◎この日出会った花々
