滝巡りが花巡りへ(赤目四十八滝)
何となく気が向いた時に行く赤目四十八滝…長坂山トレッキング道が開通して、ハイキングだけでなく登山も楽しめる場所になりました。赤目に足を運ぶ第一の目的は、滝の写真撮影です。普段は持ち歩かない三脚を持って、スローシャッターなどの練習がてらに歩くことがほとんどです。
この日は、梅雨明け以降ほとんど雨が降っていなかったので、滝にも水量が乏しいだろうと思いつつ車を走らせました。
滝巡りは想像通り、水量が乏しく被写体としても物足らない一日でした。しかし、イワタバコはちょうど見頃で期待を裏切らない美しい姿を見せてくれました。そして、イワタバコの白花、ベニシュスランとの出会い、思わぬ幸運に恵まれた一日でした。

「じゃんじゃの水」は、伊賀流忍者百地三太夫などが修行の時に身を清め心を鎮めたとされている湧水です。じゃんじゃん出ている様子と行者が持つ錫杖の音に似ているところから 「じゃんじゃの水」 と呼ばれているそうです。



渓谷に入ると水量が少ないことがすぐにわかりました…今日は、滝よりイワタバコがメインだなって(笑)入渓口周辺からハグロソウが沢山咲いていました。ハグロソウは、どの山域でもよく目にする花ですが。よく見ると可愛い花です。


地名の「赤目」は、役行者が修業中に赤い目の牛に乗った「不動明王」に出会ったことが由来と言われています。霊蛇滝横にある「赤目牛」の像を撫でると「目が良くなる」と言われています。

赤目五瀑のひとつ「不動滝(ふどうだき)」は、不動明王にちなんで名付けられた滝で落差15m位です。「滝参り」はこの滝への参拝を意味するもので、明治中期以前はここより奥は深山幽谷の原生林で、修験者のみ入ることが許されていた聖地だったそうです。




岩を伝って千手のように落水する姿、または千手観音が名前の由来と言われている「千手滝(せんじゅだき)」。黒い岩肌を伝う白い水とのコントラストが美しい滝です。日差しが強すぎると白とび、黒のつぶれなど写真を撮ることが難しくなります。私の場合は、下手なだけです(笑)
30mの高さから一条の布を掛けたように落ちる「布曳滝(ぬのびきだき)」布引と名のつく滝は数多くありますが、ここ赤目の布引滝がそれらの滝の代表格のひとつだと言われています。
布引滝上部の「竜ヶ壺」は、私の好きな場所です。なだらかな岩肌を伝う水の流れが美しいのですが、この日はさすがに水量不足でした。


七色岩…岩の上には、マツ・モミ・カエデ・サクラ・アカギ・ウメモドキ・ツツジの7種類の植物が自生しているそうです。

川の中央に位置する大岩を挟んで流れが二手に分かれる様子が、荷物を綺麗に振り分けて担っているように見えることから、「荷担滝(にないだき)」と名づけられたそうです。渓谷随一の景観と称されるこの滝は、水量が乏しくても美しかったです。
滝と滝つぼを合わせた形状が楽器の琵琶に似ていることから「琵琶滝(びわだき)」と名付けられたそうです。
梅雨末期から初夏にかけて各地の沢沿いなどで咲くイワタバコ(岩煙草、学名:Conandron ramondioides Siebold et Zucc.)ここ赤目渓谷では、株も大きくいたるところで花を咲かせています。他の山域に比べても、その株の大きさ豪華さは特筆すべきだと思います。この日は、ちょうど見頃を迎えたイワタバコの群生の中に、純白に近い花を見つけました。イワタバコの白花は、4万株に1株程度と言われているカタクリの白花より変異の確立が数段低いと言われています。岩壁の上の方で咲いていたので写真をうまく撮れませんでしたが、来年からの楽しみが増えました。
この日一番の収穫は、思いがけないシロバナイワタバコでしたが、同様にベニシュスラン(紅繻子蘭、学名:Goodyera biflora (Lindl.) Hook.f.)との出会いでした。この渓谷で咲くということは、事前情報もあったのですが、場所も特定できず期待はしていませんでした。しかし、意外にも滝巡りの遊歩道傍にそこそこ咲いているのを見つけることができました。同種のアケボノシュスランより花は大きく、とても美しい花でした。黄みがかった紅色の花は、大きさの割に目立たなく、遊歩道を歩いている多くの方は気が付いておられなかったようです。
