「比良の暮雪」(堂満岳)
近江八景の「比良の暮雪(ぼせつ)」にちなみ暮雪山と言う別名を持つ堂満岳。近江八景(おうみはっけい)は、日本の近江国(現・滋賀県)にみられる優れた風景から「八景」の様式に則って下記の8箇所を選んだ風景評価の一つです。江戸時代の浮世絵師・歌川広重は、正面谷の金糞峠から見える琵琶湖の風景を描いています。(以前は、説明板が金糞峠にありました)
石山秋月 [いしやま の しゅうげつ] = 石山寺(大津市)
勢多(瀬田)夕照 [せた の せきしょう] = 瀬田の唐橋(大津市)
粟津晴嵐 [あわづ の せいらん] = 粟津原(大津市)
矢橋帰帆 [やばせ の きはん] = 矢橋(草津市)
三井晩鐘 [みい の ばんしょう] = 三井寺(園城寺)(大津市)
唐崎夜雨 [からさき の やう] = 唐崎神社(大津市)
堅田落雁 [かたた の らくがん] = 浮御堂(大津市)
比良暮雪 [ひら の ぼせつ] = 比良山系(大津市)
今回は、イン谷口から正面谷で武奈ヶ岳へ登った後、コヤマノ岳から上林新道で金糞峠へ下り、そこから堂満岳へ登り返してイン谷口へ下山しました。武奈ヶ岳も厳冬期以外では久しぶりでしたが、堂満岳は7、8年ぶりとなりました。(武奈ヶ岳の記事は、『久しぶりに比良へ(武奈ヶ岳)』をご覧下さい。)




上林新道は、初めて通る道でしたが、コヤマノ岳の美しいブナ林と違い、芦生杉の群落と巨樹が見事な山道でした。踏み跡もしっかりしていて、道迷いの心配、大きな危険個所はありません。中峠経由の道同様、金糞峠から武奈ヶ岳へのメジャーなルートのようです。
上林新道で四辻まで下り、ヨキトウゲ谷入口の分岐を経て金糞峠まで戻りました。青ガレを下る、北比良峠からダケ道を下ることも考えていたのですが、久しぶりだったので堂満岳へ登ってみたくなり登り返すことにしました。



東レ新道分岐から堂満岳の山頂へは、北側に堂満ルンゼと呼ばれる険しい岩溝を覗きながら道が続いています。痩せた尾根、急登、木の根と険しい山道ですが、樹木に遮られているので高度感による恐怖はあまりありません。ちなみに堂満ルンゼは、アルパインスタイルを好む登山者がよく登る場所としても有名です。また、シャクナゲが多く自生していて、春にはきれいな花が多く咲きます。

堂満岳山頂は、東側の展望が開け眼下に琵琶湖が広がる風景は本当に絶景です。


堂満岳からイン谷口へは、東側に稜線が伸びていて堂満東稜道という登山道が整備されています。岩稜系の険しい山なので、下り斜面もかなり急峻な個所があります。また、北側と南側は急斜面となっており、それぞれ北壁、南壁と呼ばれています。尾根の途中で一旦谷に下り、南側の尾根を辿りノタノホリへ向かいます。
ノタノホリは、堂満岳から東側に延びる稜線上標高約500mにある池で、モリアオガエルが生息していることで有名です。
ノタノホリからイン谷口へは、北東側に下って行きます。途中に別荘地の中を通過します。ノタノホリからは、堂満岳からの下りに比べると比較的穏やかな道で安全に下ることができます。

