久しぶりに比良へ(武奈ヶ岳)
山歩きを初めた頃は、金剛山ばかりで他の山を歩くようになるまで1年半以上かかりました。基本ソロでの山歩きのため他の山域に足を向けることに多少なりとも不安もあったからです。でも、金剛山でも少しずつバリエーションと呼ばれるあまり人が入らない道を歩くことに慣れてきて、金剛山以外の山に興味を持つようになってきました。ネットなどで情報を収集して歩き始めたのが、大峰や比良の山でした。北比良周辺を色々歩きましたが、その後大峰や台高方面にも足を延ばし始め、最近では厳冬期しか登らなくなっていました。
今回は、八雲ヶ原湿原にウメバチソウが咲いているとの情報につられて歩いてきました。イン谷口から正面谷を辿るルートで金糞峠まで登り、八雲ヶ原湿原を経て、武奈ヶ岳山頂を目指しました。(堂満岳の記事は、『比良の暮雪(堂満岳)』をご覧下さい。)




大山口から青ガレに続く道は、元々堂満岳北側斜面の崩落が激しく、崩れ落ちた石が登山道を覆っています。ルンゼと呼ばれる険しい地形が数か所あり、今も絶えず崩落を繰り返しています。また、かくれ滝や金糞滝は登山道からは見えませんが、一見の価値があると思います。





青ガレは、大きな岩が重なり合うガレ場の急斜面です。歩行距離は短く注意して歩けば問題はありません。ただ、浮石も多く落石に注意する必要があります。また、雨などで石が濡れている時は、スリップし易いので注意が必要です。
青ガレ上部から金糞峠もガレ場・ザレ場の急登が続きます。青ガレ同様、落石、浮石などに注意が必要です。一般的な山道ではないので、岩場歩行に慣れていない方は、下りに利用するのは避けた方が良いかもしれません。



金糞峠から西側の谷筋に入るとヨキトウゲ谷を詰めて中峠へ向かう道、八雲ヶ原へ通じている道の分岐があります。今回は、八雲ヶ原湿原に向かうため右側に道を進みました。奥ノ深谷の源頭部にあたる流れに沿って進む穏やかな道です。比良山系の山中では、平坦な尾根と浅い谷が交差する地形が点在しています。道は明確ですが、方向を間違えるとわかり辛い場合があるので地形図やGPSで時折確認するようにして下さい。
八雲ヶ原湿原は、近畿地方では珍しい高層湿原帯で周囲の山地より集結した水がここに集まって比良の西側を流れる葛川(かずらがわ)の支流の水源になっています。ロープウェイが通じていた頃は、家族連れ等で賑わっていたそうです。標高900m地点にあり、シャクナゲやベニドウダン等が有名で、ヤクモ池にはアカハライモリが生息しています。また、湿原特有の山野草も多く、今回はウメバチソウを見てきました。

ウメバチソウ(梅鉢草、学名:Parnassia palustris)はウメバチソウ属の多年草で、花が梅の花に似ていることからバイカソウ(梅花草)の別名があります。北海道から九州の山地帯から亜高山帯下部の日の当たりの良い湿った草地に自生し、8~10月に2cmほどの白色の花を咲かせます。
湿原周辺は、テント泊に適した場所で、多くの登山者やキャンパーが訪れることでも知られています。スキー場ゲレンデの跡地には、多くの山野草が自生し、この時期、リンドウやセンブリが多く見られます。また、比良ロッジ跡や北比良峠周辺には、天巧磨崖佛や比良明神など歴史的に価値のある場所もあるようです。
八雲ヶ原湿原から武奈ヶ岳へは、谷筋を辿る道と尾根筋を辿る道があります。今回は、イブルキのコバを通って谷筋の道を辿りました。


武奈ヶ岳は、滋賀県大津市にある、標高1214.4mの山で、滋賀県西部、湖西地方に位置する比良山地の最高峰です。最近は、厳冬期(積雪期)にしか登ることが無くなった比良山地ですが、四季を通じて多くの登山者が訪れる人気の山です。この日は、青空もありましたが、雲が多く琵琶湖の眺望はよくありませんでしたが、山頂から360°の展望が開け、素晴らしい尾根歩きを楽しむことができます。





武奈ヶ岳山頂でゆっくりした時間を楽しんだ後、コヤマノ岳を通って金糞峠方面へ下ることにしました。


コヤマノ岳山頂付近も比較的平坦な個所があり、テント泊には適していると思います。武奈ヶ岳ほどではないですが、琵琶湖方向の展望も開けていて釈迦岳や北比良峠越しに琵琶湖を間近に見ることができます。

コヤマノ岳からは、未踏だった上林新道を歩くことにしました。
