奇岩の回廊を巡る(金勝アルプス)
金勝アルプスは、毎回湿原に咲く花を目的に登りますが、もうひとつの楽しみとして花崗岩が造る造形があります。元々杉やヒノキ自生する山だったのが、木材採取のために伐採が進み、江戸時代には「田上の禿げ」と言われるようになりました。その後、アカマツなど植林が進み自然休養林に選定されるまでに植生も改善されました。禿山とかした山域は、雨水を保水する力がなく、花崗岩の風化がより進んだのではないかと思います。

湿原の花を見て歩いた天狗岩線の沢道から尾根に上がるとその風化花崗岩の造形とザレた岩場が現れます。また、琵琶湖への眺望も開け素晴らしい景色が見れます。この時期の花の情報は、『花咲く自然休養林(金勝アルプス)』をご覧下さい。







六甲山地周辺や宝塚、播磨、須磨などにある○○ロックガーデンや○○アルプスと呼ばれる花崗岩が風化して造られた山域があります。どの山域も大きな花崗岩を縫うようにして道が続きますが、風化して砂状化したザレた斜面が多く、歩行に注意が必要です。硬い岩場を歩行するより滑りやすく注意が必要です。登山靴のフリクションは、思っているよりザレ場でも効いてくれます。怖がり過ぎず、登山靴を信頼して歩くようにします。それとともに三点支持を意識して下さい。
竜王山へ立ち寄るために耳石から白石峰方面へ向かいます。耳石から白石峰までの区間も大きな岩と奇岩が多く見られます。

花崗岩の奇岩、湿地帯に咲く花で知られた金勝アルプス周辺ですが、歴史的にも金勝寺や磨崖仏など貴重な地であることも知られています。白石峰から竜王山への道途中には、茶沸観音があります。平安時代のものと言われ、信仰の道だったことを伺えます。

金勝寺八大龍王本殿は、大野神社の境外社で、天之水分神(明治までは神仏習合により八大龍王と呼ばれた)を祀っているそうです。金勝地区に水を恵み与える神として信仰され、干魃時には雨乞行事が行われました。竜王山は、金勝山の分水嶺だそうです。また、大野神社は金勝寺の鎮守とされています。


竜王山を後にして、北峰縦走線を天狗岩へ向かいます。耳岩をはじめ色々な形をした花崗岩の造形を見ることができます。

天狗岩は、金勝アルプスの奇岩風景を代表する場所で、小さな家程ある花崗岩の大岩が重なるように立ち並んでいます。ザレた岩の斜面を足元に気を付けながら登れば、大岩の上に立つことができ、琵琶湖を含め雄大な風景を楽しむことができます。鉄製の橋や鎖、ロープも設置されています。


天狗岩を一通り探索した後、北峰縦走線を進み、K-6の分岐から落ヶ滝線で下山しました。

落ヶ滝は、水量は乏しく季節によっては水の流れがほとんどない時もあるそうです。ただ、この滝の岩肌は、花崗岩が水の流れで磨かれ、オレンジ色になっているところがあり、とても美しい滝です。登山道から少し離れていますが、是非立ち寄りたい滝です。

