文殊菩薩現す御舟子の氷瀑
奈良県川上村には、数多くの滝があります。素人写真ですが、滝の写真を撮るのも好きで、川上村にはよく足を運んだものです。厳冬期になると標高の高い場所にある滝は、凍り付き氷瀑と言われる神秘的で雄大な自然の造形を見せてくれます。ただ、厳冬期は滝のある場所までのアクセスも困難なことが多く、なかなか手軽にその姿を見ることはできません。その川上村の中で、比較的アクセスが良く、雄大な氷瀑光景を見ることができる滝『御船(御舟子)の滝』があります。
川上村井光の井氷鹿(いひか)は、古事記にも記述があるそうです。
尾のある人、井より出て来たりき。その井に光ありき。ここに「汝は誰ぞ」と問ひたまへば、「あは国つ神、名は井氷鹿(いひか)と謂ふ」と答へ曰しき。こは吉野首(よしののおびと)等の祖なり。 「古事記」より
井氷鹿(いひか)は、神武天皇を案内して、土地神谷(とちかみだに)を過ぎて休石(やすみいし)に腰をかけた後、御船山(みふねやま)の尾根にある拝殿で波々迦(ははか)の木を燃やし鹿の骨をもって卦(け)を立てて占い、御船の滝巖上に宮柱を立て天乃羽羽矢( あまのははや-天から授かった矢)を納め、進軍の勝利を祈願したといわれています。(川上村HP参照)
今冬は、強烈な寒波が数回訪れ、滝が氷瀑する条件が満たされていました。問題の井氷鹿の里(いひかのさと)までのアクセスも寒波が過ぎた数日後には雪が解け問題ないことが確認できたので、氷瀑が解けていないことを祈りながら訪れてみました。

尚、井氷鹿の里までのアクセスに関しては、下記を参照して下さい。
路面が白く変化し雪が積もってくると、タイヤの溝に雪が詰まって危険です。登り坂では立ち往生し、下り坂では制御不能となります。井氷鹿(いひか)の里手前1.8kmを越えると、積雪量が増えます。井氷鹿の里に着くころにはかなりの積雪量に変化します。路面が見えていたとしても、凍結している場合があります。ノーマルタイヤでは走行できません。積雪が多い時は、60cm積もる日もあります。ここまで積もるとスタッドレスタイヤを着用した4WD(四輪駆動)の車であっても通行できません。御船の滝に近づくにつれ、標高は高くなり雪が多くなります。山の雪道は大変危険です、充分にお気を付けください。(奈良旅ネットHP参照)
井氷鹿の里には、ライブカメラが設置されていて積雪状況などが確認できます。(井氷鹿の里 ライブ タイムラプス)

井氷鹿の里『もりもり館』の駐車場(500円)に車止めて、林道井光線を北上します。御船の滝入口までは車道歩きになりますが、積雪期は車両通行止めになっています。危険な個所はありませんが、路面が凍結していることが多いので、積雪量含め注意が必要です。












氷瀑は、滝頭付近や水の流れる中央部に解凍が見られていましたが、ほぼ完全な姿でボリューム感も残されていました。落差約50mと言われる滝が完全に凍るとまさに圧巻です。この御船の滝がある場所は、お昼前後に日差しが入り込みます。日差しが入り込むと熱く凍った滝は、深いブルーに輝き、何とも言えない神秘的な色合いになります。その陰影が文殊菩薩に見えたかもしれませんね。


















平日ということもあり訪れる人も数人で、1時間以上も撮影したり滝見台で食事、ホットウイスキーでまったりした時間を過ごしました。その後、林道で帰るのも芸がないので、山の中の遊歩道を辿ってみることにしました。ただ、事前の情報なしに思いつきで歩いたので、皇塔奥の院や井光鹿の井戸という史跡に辿りつくことなく単なる山歩きになってしましました(笑)
































