円舞なき青き雪影(天女の舞)
強い寒波が入り荒れたお天気が続いた後の晴天を狙って、2年ぶりに天女の舞へ行ってきました。天川村の朝の気温が-5℃で、予報通り朝日が眩しい中のスタートになりました。今回歩いた栃尾辻ルートは、天川村役場近くにある登山口から栃尾辻を通って、弥山、明星ヶ岳、八経ヶ岳へ続くルートです。弥山の鎮守として祀られた大峯本宮天河大辨財天社(天河神社)の奥宮に通ずる参道でもあり、弘法大師(空海)や役の行者をはじめ多くの修行者の足跡が残されている道です。

いつも車を駐車させていただく天川村役場は、登山者などにも駐車場を開放していただいています。また、綺麗なトイレも隣接していて非常にありがたく、マナーに気を付けて利用させていただくよう心掛けたいですね。


登山口から第一鉄塔までは、役場の裏山を登ります。植林地の中を階段状に整備された道を登ります。そこそこ段差があり、勾配もきついため、歩き初めの足には堪えます。あまり急がず、足が慣れるまではゆっくり登ることをお勧めします。


第一鉄塔から第二鉄塔までの道は、尾根をトラバースする道が多く、樹林帯の中で日差しが少ないので凍結すると足元に注意が必要になります。また、積雪量が多い時は、一部尾根を直登する方が安全かもしれません。第一鉄塔、第二鉄塔、林道出合い付近から見る観音峯山、大日山、稲村ヶ岳、バリゴヤノ頭などの稜線は、雄大で大峰山脈を象徴する景観だと思います。




林道出合いから栃尾辻までは比較的勾配も緩やかです。無雪期は、尾根を直登せず山腹をトラバースして道が続いていますが、積雪時はトラバースを避けて尾根を直登する方が安全です。林道出合いで標高が1200m位で、風通しも良いため霧氷が付きやすい場所になっています。条件が良ければ、この辺りから綺麗な霧氷風景を見ることができると思います。


栃尾辻から天女の舞までは、夏道がP1518をトラバースするように続いているのに対し、P1518へ直登します。

天女の舞は、P1518から北西に延びる二つの尾根で、標高1450m辺りに位置する開けた場所です。北西側が開けているため季節風が通りやすく霧氷がつきやすいことで知られています。また、日が昇る東側にP1518があるためお昼前までは日陰になっています。霧氷を求めて登る時は、お昼前までにこの場所へ到達するようにすると良いと思います。


この日は、寒波到来直後の晴天で気温も-5℃以下と好条件だと思われましたが、残念ながら霧氷のつきは芳しくありませんでした。これまでも晴天、低温でも霧氷がないことがありましたが、おそらく湿度が大きく関係するのだと思います。標高が1000mを超える山では、平地では微風でもそこそこ風は吹いています。しかし、乾燥し過ぎていると水分が飽和状態にならず、気温が低くても氷結する水分が空気中になく、霧氷ができないのだと思われます。自然のなせる神秘の力…人知の及ぶところではないかも(笑)
霧氷は残念でしたが、カメラを持って歩く私にとっては、晴天の冬山を歩けることが何より一番。特に雲一つない青空がなす、雪原の深いブルーは最高の贈り物でした。雪原に繰り広げられる蒼き雪影に酔いながら、最高の時間を過ごしました。


