廃小松寺の参道を辿る
膝の怪我がなかなか回復しない中、冬山を断念して里山ウォーキングを始めましたが、たまたま知った星田連山にすっかり嵌ってしまいました(笑)星田連山のことを知れば知るほど歴史的にも興味深いものがあり、トレッキングとしての楽しみだけでなく幾度となく歩いてみたくなる山域です。
歴史的に最も重要な事柄としては、廃小松寺の存在だったのではないでしょうか? 平安期の845年から江戸元禄期の1703年まで星田山中の小松山にあった七堂伽藍の真言宗東寺派のお寺でした。11世紀後半ごろには、僧侶120人、児童38人、僧侶が住む建物が67棟など、かなり大規模な寺院であったことが記されているそうです。そんな廃小松寺への参道も多くあったようで、その参道が今も登山道として利用されているようです。
今回は、まず「宗円ころりの道」と呼ばれている旧参道を通り、途中から地蔵谷山へショートカットして同じく参道だった「はしご坂道」を辿ってみました。






『宗円ころり』…小松寺の管主・宗円があやまって谷底に落ちたが、お守りのご利益で命をとりとめたので、宗円ころりと呼ぶようになったそうです。風化した花崗岩の細かな砂が表面にあり、かなり滑りやすくなっています。



「宗円ころりの道」を進むと弁財天山へ続いているのですが、北側の尾根には「はしご坂道」と呼ばれる旧参道があり、地蔵谷山、馬木嶺のピークがあります。二つの尾根の間には浅い谷があるのですが、地形図で見る限りショートカットできる可能性を読み取ることができました。南宗円山のピークを越えた辺りでショートカットにチャレンジしてみました。






















星田三山のひとつ北山師岳から今度は南星台へ向けて一旦下りました。旧参道のひとつに「萱尾八丁の坂道」の記載がありますが、勉強不足で調べが及ばず、北茨尾山、吉本山、中の山とピークを辿りながら歩きました。ただ、倒木などで道はやや荒れ気味で、南星台の住宅地手前は藪に覆われルートロスしてしまいました。











南星台に下った後、星田新池に向かい「地獄谷尾根古道」と呼ばれる道で再び登り、中央道で早刈山を探索して、逢坂道で三度登ってから星田コモンシティへ下りました。結構タフなルート取りだったと思います。
◎歩く際の注意点(低山を侮るなかれ!)
星田三山と呼ばれる北山師岳、星田山、日高山があり、最高峰の羽伏山でも284.2mの超低山群です。ほとんどのルートはよく整備されていますが、未整備区間や廃道化している道、崩落個所、藪に閉ざされた区間などもあります。低山と言っても急斜面のトラバースやルンゼ、砂防提もあり、地形図にルート記載のない道が多く、道迷いなどには十分注意が必要です。また、入り組んだ地形のため細かなアップダウンが続き、歩く距離以上に体力が必要になります。
この山域に限りませんが、必要以上にテープ類が多いです。里山は色々な方が登られるのである程度のテープ類はあってもいいと思いますが、折角の自然景観を損なうような過度なテープ(私設)は取りつけないようにしてほしいものです。尚、林業や保全、倒木処理のためのテープもありますので、必ずしもテープがルートを示しているとは限らないので注意して下さい。
- 地形図、コンパス、GPSを使用した読図力が必要な箇所があります。
- 崩落個所や急斜面のトラバース、道迷いに備え、シュリンゲなどの装備を持たれることをお勧めします。
- 低山ですが、谷の深い場所や岩場があります。道に迷った時は、尾根まで引き返すようにしましょう。
- テープが多くありますが、テープを頼りにせず自ら地図やGPSで確認しましょう。新緑から落葉するまでの季節(初夏から晩秋)は、藪が茂り、蜘蛛の巣、蜂やマダニ類も活動期にあるので、バリエーションルート探索は冬場が良いと思います。
