ススキの海原と山野草
和歌山県紀美野町と有田川町にまたがる生石高原県立自然公園標高870メートルの山頂には、約13ヘクタールにもおよぶスケールのススキ大草原が広がっていて、生石ヶ峰(標高870m)を主峰としてします。侵食作用によって地形面の高さが侵食基準面近くまで下がり、全体的に起伏の緩やかな平原が広がる隆起準平原です。山頂部からは、360°の展望が開けススキの草原、眺望の良さから日の出・夕日ともに美しく、和歌山県内有数の行楽地となっています。
近畿の山々、紀伊半島の山々は色々登ってきましたが、和歌山県の山を登るのは初めてでした。生石高原は車で山頂近くまで登ることができ、多くの方は車で登られます。今回は、希少な花を見ることとが第一の目的だったのでサクッと車で山頂近くまで行っても良かったのですが、あまりにも味気ないので小川宮から山頂まで歩くことにしました。
小川の郷直売所(生石山登山者駐車場)から生石高原に向けて歩きますが、車道やコンクリート舗装路の区間が多くあります。山中の登山道もよく整備されていて危険な場所はありません。地元の方にも親しまれている山のようで、この日も数か所で登山道の補修をされていました。
生石高原のススキ平原には、多くの山野草を見ることができます。その中でもムラサキセンブリ(紫千振、学名:Swertia pseudochinensis)は、環境省のレッドデータブックでは準絶滅危惧種に指定されていて隣の奈良県では絶滅種とされています。山頂平原には踏み荒らしを避けるためのロープが張られていますので、自然保護のためにも歩く場所には注意しましょう。
ヒメヒゴタイ(姫平江帯、学名:Saussurea pulchella)は、環境省のレッドデータブックでは絶滅危惧II類(VU)に指定されているアザミに似た花を咲かせます。生石高原ではヒメヒゴタイも多く咲いています。
テリハノイバラ(照葉野茨)、マツムシソウ(松虫草)、オミナエシ(女郎花)など既に花期を過ぎたものも多くありましたが、リンドウやキク科の花々がまだまだ彩を添えてくれていました。