百花爛漫…伊吹に咲く花①(2016.05.29)
年に数回登る伊吹山…深雪地域で知られるこの山の春も近畿の他の地域より遅くやってきます。麓ではカエルの鳴き声が大きくなる頃、伊吹山では多くの花が咲き始めます。
標高が低い山ですが、石灰岩層の山であることと地理的な環境条件などの要因で植物相が豊かで植物研究に貴重な山とされ、日本では高尾山に継いで藤原岳と共に2番目に植物の種類が多い山であるとされています。山麓から山頂にかけて様々な野草の群生地があり、多くの固有種の生育が確認されています。
高山の高茎草原に見られる種も自生していて、山頂部では樹木の生育が抑えられて高木が少なく、日本では数少ない北方性の高山植物または亜高山性植物の植物が分布する山地草原が発達している。約300種の温帯性および亜高山性の草木の群生地となっていて、近畿地方以南では他に例がありません。
地層形成年代が古いことと高山的な気象条件になることから、以下のような特徴が見られます。
- 日本で分布の西南限となっている種が多い
- 日本海要素の植物が多い
- 石灰岩地を好んで生育する植物が多い
- 西日本に分布する南方要素(そはやき要素)の植物が北上してきている
多くの薬草が分布し、ヨーロッパを原産とする植物が生育しています。これらは、織田信長がポルトガル人宣教師の希望を聞き入れ、伊吹山に土地を与えてハーブガーデンを作ったときに、ヨーロッパから持ち込まれたハーブに紛れて入ってきたと推測されています。
山麓は針葉樹と広葉樹地帯で、3合目から上部は草地となり、1,700種を超える多くの植物が分布しています。また、上野からの登山道の3合目の草原はオカメガハラと呼ばれ、春から秋にかけて70~100種ほどの草花が生育しています。
- ユキノシタ(雪の下、学名:Saxifraga stolonifera)登山口
- キンラン(金蘭、学名:Cephalanthera falcata)登山口から一合目
- ツルニチニチソウ(蔓日々草、学名:Vinca major)一合目
- ヒヨクソウ(比翼草、学名:Veronica melissaefolia Poir.)五合目
- タツナミソウ(立浪草、学名:Scutellaria indica)三合目
- オカタツナミソウ(丘立浪草、学名:Scutellaria brachyspica)
- ハクサンフウロ(白山風露、学名:Geranium yesoense var. nipponicum)三合目から山頂付近
(注)伊吹山では多くのフウロ属を見ることができますが、混合種も多いので見分けがつきにくいです。
- ノアザミ(野薊、学名: Cirsium japonicum)一合目から三合目
- キバナノレンリソウ(黄花の連理草、学名:Lathyrus pratensis L.)一合目から三合目
- クサフジ(草藤、学名:Vicia cracca)一合目から二合目
- コウゾリナ(剃刀菜・顔剃菜、学名:Picris hieracioides subsp. japonica)一合目から三合目
- キバナハタザオ(黄花旗竿、学名:Sisymbrium luteum)三合目
- イブキハタザオ(伊吹旗竿、学名:Arabis gemmifera (Matsum.) Makino)登山道全般
ハクサンハタザオ(白山旗竿、学名:Arabis gemmifera.)登山道全般
- イブキノエンドウ(伊吹野豌豆 、学名:Vicia sepium)一合目から三合目
- クサボケ(草木瓜、学名:Chaenomeles japonica)三合目
花の素敵を有難うございました。
伊吹山は 県外からも 行きたい山です。
伊吹山は近畿では珍しく北方系の花が多く咲きます♪ 7~8月下旬には、今より多くの花が咲き見事ですよ(^_-)-☆ 夏は下から登ると結構大変ですが、9合目まで車でも行けるので是非機会があれば行ってみて下さい。