美しき白き花々(金剛山)
金剛山で、この時期のメインステージはカトラ谷のお花畑ですが、他の登山道でも色々な花が咲いています。前回ご紹介した郵便道のイカリソウも気品のある優雅な花姿で人を魅了してくれます。そんな金剛山で数年ぶりに憧れの花を見つけることができました。シロバナカタクリ(白花片栗、学名:Erythronium japonicum f. leucanthum)です。金剛山だけでなく、カタクリの群生地で稀に見ることができる変種です。その確率は、数万株に一株と言われています。金剛山のカタクリの群生地は数か所ありますが、白花の変種は毎年確認されるわけではなく、希少価値は高いと言われています。今年は、色々な情報を見る限り、2、3株開花が確認されたようです。今回は、時期的に花期は終盤で、ほとんどの花は終わっていましたが、運よく開花して間もない白株に出合うことができました。
ただ、見つけた当日に写真を撮っていた女性グループがその株を隠す行為をしていました。枯れた笹の葉で地面に押し付けるようにして隠す行為は、花にとっては甚だ迷惑な行為…光合成で命をつなぐ植物にとってはその生命を脅かす行為です。何故そんなことをと問えば、『希少な花を盗掘から守りたい』というかもしれませんが、利己的な言い訳以外何物でもないと思います。花好きを自称する方の中には、本当に花や自然を大切にされる方も多いと思いますが、自己満足、独占欲、自慢したいだけなど自己中心的な方も少なくありません。身勝手な行為は止めてほしいものです。山は、自然は…自分だけのものではありません。
この日は、希少なシロバナカタクリに出合っただけではなく、色々な美しき白き花々に出合うことができました。
イチリンソウ(一輪草、学名:Anemone nikoensis Maxim.)は、お花畑に咲くニリンソウと同じように金剛山でも比較的よく見かける花です。昔に比べイチリンソウも群生地が広がっているようです。この日は、タカハタ谷の水飲み場付近にある群生地でピンクがかった優雅な花姿を見ることができました。ニリンソウより花が大きく美しいです。
シロバナハンショウヅル(白花半鐘蔓、学名:Clematis williamsii)とトリガタハンショウヅル(鳥形半鐘蔓、学名:Clematis tosaensis)もなかなか見る機会のない花のひとつです。金剛山では、府道705号線沿いに多く見られます。また、トリガタハンショウヅルも目立ちにくい花ですが、文殊東尾根などで見ることができました。やや緑がかった花は落ち着いた雰囲気で美しいですよ。
この日は、前述の白花以外にも多くの花に出合うことができました。花の百名山に選定されていませんが、金剛山にも多くの種の山野草が自生しています。この豊かな自然を後世に残すためにも利己的な行動は慎むようお願いします。
