春の装い武奈ヶ嶽(武奈ヶ岳)
今年の立春は2月3日…1985(昭和60)年以来、2月4日が続いていたのですが、2月3日になるのは1897(明治30)年以来124年ぶりだということです。立春と言えど、例年なら2月初旬は厳冬期真っただ中。今冬も当初の予報では、例年よりかなり寒い冬になると言われていました。年明けから連続して大型寒波が襲来して、低温や降雪の日が続きましたが、その後は予報が一転して暖冬傾向…積雪量の多かった比良山系の山々も一度はほとんど雪が解けてしまいました。数日前に入った寒波のおかけで少し新雪が積ったようだったので手軽に行くことができる武奈ヶ岳に行ってきました。




このルートは、御殿山までの急勾配の上りが一番しんどく長く感じられると思います。今まで数回冬の武奈ヶ岳を訪れていますが、今回ほど雪が少ないのは初めてでした。最初の植林地帯には、少し残雪が見られる程度で積雪がないため、逆にザレた個所や滑りやすい箇所は歩き辛かったです。また、近年の台風や豪雨の影響で倒木が多く、荒れている箇所が多々あります。
植林地を抜け平坦な場所から急な登りが続くトラバース道に、凍結箇所が目立つようになったのでチェーンアイゼンを装着しました。これから春山でも残雪があったり、朝晩の冷え込みで道が凍結する場合があるので、少しでも危険を感じる時はためらわず早めにチェーンアイゼンや軽アイゼンを装着するようにしましょう。


このルートには、積雪量によって夏道と冬道でルートが分かれます。夏道は、尾根を辿らず谷筋をトラバースして道が続きます。吹き溜まりになる谷筋は積雪量が多くなりがち、またトラバースも危険を伴うため、尾根を辿る冬道が推奨されています。この日も登りは冬道を歩きましたが、積雪量が少なかったので、下山時に夏道を歩いてみました。


このルートは、御殿山までの上りが一番きつく、御殿山から武奈ヶ岳までは西南陵尾根をのんびり歩くことができます。但し、西南陵尾根には大きな樹木がなく、季節風が吹き抜けるので、天候によっては強風、ホワイトアウトに気を付けなければいけません。
下の比較写真はワサビ峠の道標で、左が今回で右が2017年2月です。


ワサビ峠を過ぎると西南陵尾根から武奈ヶ岳へと歩きます。比良山地の山並み、西南陵尾根の美しい稜線など素晴らしい風景を見ながらのんびり歩くことができます。この日も積雪量が少なかったのは残念ですが、お天気が良く楽しむことができました。

下の写真は、(左)今回の西南陵尾根(右)2017年2月4日の西南陵尾根

武奈ヶ岳には三等三角点が設置されていますが、1974年以降観測されていません。従来の標高は1214.2mですが、現在は点の記を含め更新されず、公表は停止されています。2017年2月4日にはあった三等三角点の標柱もなくなっていました。
武奈ヶ岳の山頂からは、360°視界が開け天候が良ければ、近隣の山並みに加えアルプスや北陸、山陰、京都、鈴鹿、伊吹山など多くの山姿を確認することができます。別名『武奈ヶ嶽』と言われる武奈ヶ岳ですが、『嶽』と評される険しさはなく、山頂部は比較的平坦な場所が広く、いつも多くの方が眺望を楽しみながら休憩されています。
風も微風でお天気も良かったので、山頂で小一時間のんびりした時間を過ごしてから下山を始めました。
葛川息障明王院は、比叡山延暦寺の僧相応和尚が、平安初期に回峰行道場として開いた寺院と言われています。
