思い草咲く戒那山(大和葛城山)
金剛山とは水越峠を挟んで北側にそびえる大和葛城山。昔は金剛山を含む山脈を総して葛城山と呼んでいたようで、大和葛城山は大和国では戒那山(かいなやま、かいなさん)、天神山、鴨山と呼ばれ、河内国では篠峰(しのがみね)と呼ばれていたそうです。ツツジが開花する頃、南側斜面は一面赤く染められ多くの方々が訪れます。
今回は、山頂部の葛城高原に咲くオオナンバンギセルを見に奈良県側から歩いてきました。一般的な登山ルートの櫛羅の滝コースと北尾根コースの周回です。猛暑とあって熱中症対策のため2リットルと多めに飲料水を用意していきましたが、植林地の中はサウナ状態で体力をかなり奪われました。ただ、葛城高原は爽やかな風が吹き、日差しは強かったものの気持ちの良い時間が流れていました。

大和葛城山の登山ルートは、奈良県御所市の麓から登る「櫛羅(くじら)の滝コース」(深谷道)と「北尾根コース」(秋津洲展望コース)、大阪府南河内郡の麓から登る「弘川寺道」や「天狗谷道」が知られています。また、ダイヤモンドトレール(ダイトレ)が通っていて、二上山や金剛山とも縦走路が続いています。今回登った櫛羅の滝コースも北尾根コースも一般的な登山道ですが、数年前と比べてもかなり登山道が荒れていました。沢沿いの道は崩落もあったようで通行止めとなっています。






櫛羅の滝コースは、一般的な登山道で昔から多くの方が歩かれている道です。しかし、近年の台風や豪雨で法面が崩壊したり、大規模な崩落が起こり、沢沿いの道は通行禁止になっています。また、登山道自体の風化も酷く、地面が削り取られてしまっている箇所が多くみられました。この日も整備をされている方がおられましたが、見た感じでは修復はかなり難しい印象を受けました。

葛城天神社の周辺は「天神の森」と呼ばれ、古代祭祀が行われた遺跡が出土したことから、鴨氏の祖であると伝わる「賀茂建角身命(かもたけつぬみのみこと)」の神跡ともいわれ、現在の大和葛城山の別名のひとつ「鴨山」の由縁と言われています。御祭神は「国常立命(くにのとこたちのみこと)」で、田畑の水を確保確保するため山麓の村人たちが、古くから雨乞いの宮として篤く信仰してきたと伝えられています。





登山道は、森の中で風が通らず、湿度も高かったので、サウナの中を歩いているようで、水分補給を十分摂ってもかなり体力を奪われてしまいました。山頂付近「葛城高原」では、日差しを遮るものもなく長居はできないかな!?って感じでしたが、涼風が吹き予想外に過ごしやすかったです。曇りがちのお天気でしたが、青空も多くみられ、ススキの緑と青空、そして様々な雲の表情と山々がとても美しかったです。時間がとってもゆっくり流れていました。
オオナンバンギセル(大南蛮煙管、学名:Aeginetia sinensis )は、イネ科の植物に寄生する植物です。葛城高原は、ススキが広く自生していて、オオナンバンギセルも多く自生しています。花言葉(ナンバンギセル)は「物思い」と「遠距離恋愛」です。花の見た目がうな垂れているようであり、何かに悩んでいるような様子が由来となっている花言葉となっています。名前の由来は、キセルの形に似ていたのが由来です。また、思い草と呼ばれるのは万葉集が由来となっているそうです。




櫛羅の滝コース同様、北尾根コースも登山道の風化現象は各所に見うけられました。金剛山でも同じことが言えるのですが、地質的な要素が大きいようですが、現状のままではいずれ通行できなくなる可能性もあると思います。

