こんぜの里山
滋賀県の南部、花崗岩の岩塊群が独特の景観を作り出す「湖南アルプス」と呼ばれる山域があります。この山域はヒノキの林に覆われていましたが、万葉の時代からヒノキが切り出され、江戸時代には「田上の禿げ」として知られる荒涼とした山域となり、水害の巣窟となっていたそうです。その後、明治時代から現在に至るまで、山腹工事や樹木植栽などの治山工事が行われ、緑はよみがえり、清流と美しい景観を取り戻すことができ、今では「近江湖南アルプス自然休養林」として多くの人々を楽しませてくれます。現在はアカマツが主体の林となっており、コバノミツバツツジ、ネジキ、リョウブ、ガンピ、ヒサカキなどが見られます。
この山域も幾度も登っていますが、個人的には天狗岩線の谷沿いルートが好きです。花崗岩の奇岩が織りなす稜線歩きも金勝アルプスの醍醐味ですが、山域全体が湿原のような沢沿いも豊かな自然に触れることができます。林床にはシダ類が多く、沢沿いの登山道は雨が降った後は、水の中を歩くことになることもあります。岩場も多いので足元には注意が必要です。
沢沿いの道から尾根に登るとそれまでとは一変し、風化した花崗岩の巨岩・奇岩が続く稜線になります。
馬頭観音堂から竜王山、鶏冠山へ続く北峰縦走路を歩いて下山します。
この日は一日曇りで眺望も望めなかったので天狗岩最上部へは登らず、落ヶ滝線の沢沿いを楽しみに北峰縦走路を下りました。
沢沿いを通る落ヶ滝線は登山道と沢の区別がない湿原地帯を歩く道です。花崗岩の岩肌をたえず流れる水がシダ類や湿原を好む山野草を育んでいます。 天狗岩線谷ルートと同じように 降雨の後などは水の中を歩くことになるので足元には注意が必要です。