百花乱舞 花の尾根(滋賀県/鈴鹿山脈)
花の百名山に選定されている鈴鹿山脈の藤原岳…多くの山野草が自生することで知られていますが、その藤原岳への登山道のひとつに「孫太尾根」があります。数年前までは崩落などで一度廃道となっていてメジャーなコースではありませんでした。
整備された登山道ではなく、カレンフェルトのゴツゴツした自然豊かな尾根道…石灰岩質を好む山野草の種を多く見ることができる貴重な場所です。雪解けとともにセツブンソウや福寿草、セリバオウレンが咲き、気温が高くなるとともにミスミソウ、キクザキイチゲ、ヒロハノアマナなどが花を咲かせます。その後も初夏までカタクリ、ニリンソウ、ヤマシャクヤクなど貴重な山野草を見ることができます。
最近では、SNSや情報サイトで取り上げられることが多くなり、多くの登山者が訪れるようになっています。人気スポットになることはいたし方ないことですが、そのマナーの酷さも目立つようになっています。
登山口付近は地元の方々の墓地ですが、駐車地に止められない車が、生活道や墓地敷地へ駐車するなど目に余る行為が横行しています。他の山でもいえることですが、自然を愛し、山を愛し、生きものを愛する人なら、まず人としてのマナーを大切にしてほしいものです。
丸山から草木、多志田山を経て藤原岳山頂台地までは、石灰岩質を好む山野草が所狭しと咲き乱れています。3月になるとセツブンソウと福寿草、セリバオウレンが咲き始め、続いてイチゲの仲間、アマナの仲間、ネコノメソウの仲間、イチリンソウ、ニリンソウ、ヤマシャクヤクなどに出会えます。今回は4月ということもあり、セツブンソウ、福寿草、セリバオウレンは咲き終えていました。
ミスミソウ(三角草、学名:Hepatica nobilis)は、雪の下でも常緑であることからユキワリソウ(雪割草)とも言われています変種、地域種として、スハマソウやケスハマソウ、オオミスミソウなどがあるようです。寒冷地では花の色も様々で、温暖地では白っぽいものが多いと言われています。
ヒロハノアマナ(広葉の甘菜、学名:Amana erythronioides )アマナより葉の長さがやや短くて幅が広く、葉の中央に白い帯が見られるとのことです。環境省のレッドブックでは、絶滅危惧II類 (VU)に指定されています。
この尾根を代表する花のひとつにミノコバイモ(美濃小貝母、学名:Fritillaria japonica)があります。環境省のレッドブックで絶滅危惧II類 (VU)に指定されています。下向きに咲く釣鐘状の花は、可憐で独特な風貌、この子に会いたくてこの尾根に足を運びます。